日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」(第2話まで)の感想

NHKで、スクールローヤーをテーマにしたドラマが放映されているので、視聴しています。

第2話までだと、主人公が学校のトラブルを一つも解決できていないので、ちょっと残念でした。元々、主人公は「法廷に立ったことのない新人弁護士」という設定なので、自然といえば自然なのかもしれませんが。ただ、これだと、スクールローヤーという存在が、ただの屁理屈屋にしか見えないので、スクールローヤーを認知させるという意味ではどうなのかな、と思います。

主人公について

主人公の田口弁護士は、大きめの法律事務所でノキ弁をしている新人弁護士です。ノキ弁というのは、どこかの事務所で間借りさせてもらって自分で仕事を受任する弁護士です。一口にノキ弁と言っても、完全に間借りだけの場合から、そこの設備や事務員を借りられる場合、教育をしてもらえる場合、仕事も割り振ってくれる場合と色々です。もちろん、ノキ弁でいるために事務所に納める金額(の決め方)も色々です。

田口弁護士が、ボス弁に対して勤務弁護士(イソ弁)にしてほしいと言っていること、そこまでボス弁を敬愛している感じではないことからすると、独立もできず就活にも失敗したパターンではないかと思われます。作中の人物像としても、田口弁護士の言動には、あまり自信が見えません。超優秀というほどではなく、本人もそれを自覚している人間なのでしょう。

そんな田口弁護士、年収280万円より低いそうです。

それなのにスクールローヤーなんてやらされているのは、正直可哀想だと思いました。週に2日もまるまる潰されるとなると、ただでさえ少ない年収が更に落ちてしまうこと確実でしょう。ノキ弁なので業務命令というわけではないのでしょうが、「貧乏クジを引かされた」と言っているので、半強制ではないかと思います。そうなると本当に可哀想です。

スクールローヤー以外の仕事について

現在のところ、田口弁護士がスクールローヤー以外の仕事をしている場面はありません。「法廷に立ったことがない」ことと国選事件のクジで外れを引いていることから、刑事事件で食べているわけで

弁護士としては、スクールローヤー以外の仕事がどうなっているのかが気になってしまいます。

ちなみに、田舎だと、国選事件は名簿に登録するだけでどんどん割り振られます。わざわざ事件を取りに行ってクジ引いて当たれば受任、というのは大都市だけです。

スクールローヤーとしての仕事について

スクールローヤーの仕事はよく知りませんが、一般的なクレーム対応として考えると、田口弁護士の対応はあまり良くない気がします。

田口弁護士は、登場と同時に相手を言い負かそうとしていますが、まずは、相手の話をよく聞き、本当にこちらに落ち度がないのかをよくよく確かめる必要があります。万が一こちらに落ち度があるにも関わらず口八丁で言いくるめてしまったら、後々懲戒請求なんて可能性も考えられます。それに、弁護士が出てしっかり話を聞くだけで解決する場合もあるので、最初から論戦に入るのは、かえって労力の無駄です。

そもそも、弁護士によるクレーム対応の重要な目的の一つは、「対応を弁護士に一本化することで業務を阻害せずに済む」ところにあると思います。どうあれ他の教員に対応の手間を取らせてしまうようでは、対応としては失敗でしょう。極端な話、最終解決に至らなくても、相手が弁護士に主張をぶつけ続けてさえいれば、対応としては成功と言えるのではないでしょうか。

今後に期待

今後は、田口弁護士が成長し、もう少しビシッと問題を解決できるようになってくれたらな、と思います。