日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

キーボード探しの旅

弁護士に限らず、あらゆる事務職においてパソコンは必須であり、文字を打つためのキーボードは非常に重要なガジェットと言えます。キースイッチの方式により安いものから高いものまで色々あり、35000円もする高級キーボードもあります。

今回、プライベート用のキーボードを買い替えるにあたり、最終的にはLogicoolのG913TKLを選びましたが、それまでに多少遍歴があったので、まとめてみました。

希望条件

私がキーボードに求める条件は以下の4点です。

  1. ワイヤレス
  2. スペースキーが短め
  3. テンキーレス
  4. 打ち心地が良い

ワイヤレス

私はデスクトップPCしか使わないので、有線でもそれほど問題はないのですが、やはり配線がないとデスクがすっきりしますし、どけるのが楽になります。一度無線に慣れると有線は避けたい気持ちが強くなります。

スペースキーが短め

私は、AutoHotkeyというWindows用ソフトウェアで思いっきりキーカスタマイズしており、日本語入力のON/OFFやモデファイアキーとして、無変換キーと変換キーを酷使しています。そのため、ホームポジションに手を置いた時、左右の親指が無変換キー/変換キーの上に来るようなポジションがベストです。

テンキーレス

テンキー付きのフルキーボードは、マウスとホームポジションの間を行き来するために右手を大きく動かさなければならず、ホームポジションも画面や自分の身体の中心よりかなり左にずれてしまいます。それが地味に苦痛でした。テンキー自体は多用するのですが、テンキーだけのキーボードは別に買って用意できます(実際そうした)。

打ち心地が良い

ここで言う打ち心地は、いわゆる打鍵感というより、キーの配置や大きさ、キートップの高さ、ストロークの深さ、反応の良さなどです。「打ちやすさ」と言い換えてもいいでしょう。

元々使っていたキーボード:Logicool K270

元々愛用していたのは、Logicool K270です。

フルキーボードである以外、私の希望をすべて満たし、その上わずか1800円程度(2022年2月現在)という激安キーボード。

このキーボードの特徴は、以下のとおりです。

長所

電池寿命が長い
毎日の使用時間によりますが、公称通り2年くらいもちます。しかも乾電池なので切れたら即交換して復活。
Unifying対応
独自の無線レシーバーを使用するタイプですが、レシーバーが非常に小さく、Logicoolの他の製品(マウス等)と1個のレシーバーを共用できるので、その分USBポートを空けておけます。
特殊キー
上の方に、オプション的な小さいキーがあります。音量操作やスリープ、電卓起動キーは地味に便利です。
キーボードの表面にスイッチがある
掃除の時などに簡単にスイッチを切れて、ON/OFFが一目で分かるのは意外と重要です。
頑丈
7年以上使用していましたが、キーが効かなくなるとかの故障は全くありませんでした。水抜け穴が開いており、液体にも強いです。

短所

最下段のキー形状がやや変
なぜか右Alt、右Ctrl、アプリケーションキーのサイズが大きく、最下段が全体的にやや左に詰められています。右Ctrlキーなんて絶対使わないので、無駄としか思えません。その分スペースキーをホームポジションに対して真ん中に配置してほしいところです。あと、スペースキーのあたりが下に膨らんでいるのも意味を感じません。
安っぽい
実際安いので仕方ないです。ただ、安っぽいプラスチックの筐体は、軽さにも繋がるので、悪い面ばかりではないでしょう。

評価

以上のように素晴らしいキーボードだったのですが、さすがに7年も使っているとプラスチックの摩耗が激しく、左Shiftキーの滑りが悪くなってきたのと、ホームポジションのポッチがすり減って指先で感じ取るのが難しいレベルになったため、買い替えることにしました。

この後お高いキーボードについても購入していますが、はっきり言って、コスパで言ったらこのキーボードが最強です。メーカーでは既に生産終了しているようですが、Amazonなどではまだ買えます。

エレコム TK-TB01DMBK

まず、「テンキーではなくマウスをなくせば良いのでは?」という発想から、トラックボール付きキーボードという変わり種を購入してみました。

しかし、結論から言ってこれは大失敗。

トラックボールやマウスボタンの配置的に、マウスジェスチャーが使いにくいし、真ん中にトラックボールがあるせいで邪魔な感じもしました。キーボードの方も、キーが深すぎて慣れませんでした。結局、マウスを使うよりかえって生産性が落ちると判断し、1か月半ほど使って売ってしまいました。

Logicool K295

キワモノに懲りたので、次は、元々使っていたキーボードの後継機であり、静音モデルであるK295を購入しました。K270に静音性能を加えたモデルです。

静音性

打鍵音は本当に静かになっています。K270が「カチャカチャ」という感じだったのに対し、K295は「コトコト」という感じです。静音キーボードは他にも色々な商品を試し打ちしましたが、トップレベルと言っていいと思います。ちなみに、メカニカルの静音キーボードは、どれも静音を名乗ってはいけないと思います。

打ち心地

キースイッチはメンブレン方式ですが、「ぐにゅん」というゴムの感触があまりなく、しっかり打てている感じがあります。K270よりもキーのぐらつきや押下中の引っ掛かりも軽減されているため、静音化したというだけでなく、打鍵感も向上していると感じました。特にキートップのぐらつきは非常に少なく、表面をなでても全然カチャカチャ鳴りません。ぐらつきの少なさは後述のG913TKLよりずっと優秀です。

デザイン

形状はK270と全く変わらないのですが、色が異なります。

K270が完全な黒だったのに対し、K295はグラファイトとホワイトの2種です。「グラファイト」は、真っ黒ではなくやや灰色がかった感じです。最初は違和感がありましたが、慣れると味があります。PC周りを白で統一している人ならホワイトも良いと思います。

ただ、フルキーボードタイプしかありません。

価格

定価2970円。実売価格は2700円程度。上記のような向上点を考えると妥当な価格差だと思います。

評価

コスパ的にほぼ最高のキーボードなので、買って損はありません。非常に静かなので、職場ではこれを使用しています。これのテンキーレスモデルさえあれば、他のキーボードなど検討する余地もなかったでしょう。

エレコム TK-FBM093SBK

K295は素晴らしいキーボードですが、やはりテンキーレスが欲しい、ということで、キーボードはどこまで小さくしても平気なのか確認する意味で、極小キーボードを買ってみました。エレコムメンブレン式ミニキーボードを買ってみたのですが、これも全く合いませんでした。

打ち心地

ゴム感強い、ぐらつく、反応悪いと、打鍵感は最悪でした。

矢印キーが小さく詰め込まれ、PageDown/UpやHome/Endキーがない配列ですが、滅茶苦茶使いづらいです。DeleteキーがBackSpaceキーのすぐ上にあるのもミスタイプを誘発する最悪の配置。左下に余計なFnキーがあるのも邪魔なだけでした。

小さいながらもファンクションキーがあるのでまだマシですが、こういう省スペースのための特殊配列は全く受け付けないと分かったので、これを買ったおかげでHHKBを検討対象から除外するのに、あまりお金をかけずに済みました。

無線接続

USBレシーバー式とBluetooth式のうちBluetooth式を選んだのですが、結論として、キーボードでBluetooth式はダメという結論に至りました。

Bluetooth式だと、キーボードからPCのスリープモードを解除できません。しかも調べてみると、BIOSの操作にも使えないようです。そうなると、何かあった時に別のキーボードを用意してこなければならず、非常に面倒です。製品によるのかもしれませんが、しばらく使用せずスリープモードに入ると、最初の打鍵を認識しなかったりもするので、はっきり言って使い物になりません。

デスクトップ用のワイヤレスキーボードでBluetooth買ってはいけないと分かったのも、このキーボードを買って良かった点です。

価格

新品だと3000円弱します。この品質でこの価格は論外です。

評価

正直言って、使い物になりませんでした。同じエレコムでも、通常配列のテンキーレスでUSBレシーバー式であるTK-FDM105TXBKは比較的評判が良いらしく、後日店頭で試し打ちしたときにも打鍵感は普通でした。エレコムで選ぶならそちらになると思います。

④ Razer BlackWidow Lite JP

エレコムの打鍵感の酷さ、特殊配列の使いにくさに辟易したことから、いっそメカニカルキーボードを試そうと思い、有線ではあるものの安くてスペースキーの小さいRazer BlackWidow Liteの日本語配列を買ってみました。

打ち心地

Razer社独自のオレンジ軸で、軽いカチカチ感が心地よく、キーの反応も良好でした。

ただ、やはりメカニカルなのでキーボードが厚く、ホームポジションに手を置くと掌底あたりがキーに触れてしまう状態でした。パームレストがないときついかなぁと感じました。

厚みだけならパームレストで対応可能だったのですが、このキーボードできつかったのは、打鍵時の金属音です。メカニカルキーボードは、一般的にカーンという金属音が響くものらしいのですが、「所詮タイプ音だし、まぁそこまで気にならないだろう」と思っていました。しかし、実際打ってみると、本当にキーを打つたびにカーン!という金属音が大きく響き、K295の「コトコト」という落ち着いた静かな音に比べてかなりうるさいし耳障りだったので、思った以上に苦痛でした。

キー配列自体は標準的なものですが、最下段のキーのサイズがおかしくて、地味に打ちづらいと感じました。

上記のとおり私は無変換/変換キーを多用しているのですが、無変換キーと変換キーのサイズが全然違い、その分スペースキーが左に寄りすぎています。スペースキーが小さいこと自体は良いことなのですが、真ん中からキー1個分左にずれてしまっているので、タイプミスを頻発しました。私は主に右の親指でスペースキーを打つのですが、ホームポジションに自然に手を置くと親指は大体Nキーの右半分あたりに来ます。ところが、このキーボードのNキーの下には変換キーがあるので、スペースキーを打つには親指を意図的に伸ばさないといけません。そのわずかな動きが意外と面倒でした。

デザイン

有線ではありますが、ケーブルは本体から取り外せるので、取り回しは良い感じでした。白のみのバックライトがなかなか見やすく、ライトを点灯していても電池が気にならないという点で、有線にもメリットがあります。

カラーは黒と白で、私は黒を購入しましたが、白の方がバックライトとマッチして綺麗という評判です。

価格

新品で9980円。1万円を切るのは、メカニカルキーボードの中では安い方だと思います。金属音やキーのサイズについて気にならないのであれば、コスパは悪くないと思います。

評価

打鍵感はかなり良く、有線であることも許容できるレベルだったのですが、それだけに金属音とスペースキーの位置が気になりました。打鍵感の良さは「打っていて気持ちが良い」というだけであるのに対し、金属音はその気持ち良さを低減し、スペースキーの位置は気持ち良さにとどまらない生産性の低減を招く要素です。

したがって、総合的にはあまり高い評価をすることはできず、結局すぐ売ってしまいました。

Logicool G913TKL

その後も、ワイヤレス、スペースキー短め、テンキーレス、打ち心地良好という条件で絞っていき、Logicool G913TKLに辿り着きました。

打ち心地

まず、薄型なのでパームレストなしでも掌底がキーに当たりません。

そして、このキーボードはキースイッチのクリック感によって3種類が用意されているのですが、私は、クリック感(カチッという引っ掛かり)がない「リニア軸」を選びました。カチカチ感がなく、浅い打ち込みでも反応することから、非常に滑らかにキーを打つことができます。個人的にはこのスルスルした感じが好きなので、正解だったと思います。キーがもう少しだけ軽ければ良かったかなとは思いますが、そこまで気になりません。

キーの配置とサイズも、最下段のキー列がホームポジションに対してほぼ左右対称なので使いやすいです。

キーとは少し違いますが、音量変更がホイールになっており、ポチポチポチと連打することなく、指でスーッと撫でれば音量を上下できます。YouTubeなどで別の動画に移った時に音量差が大きいと、これで音量を変えられるのが便利です。

それと、BlackWidow Liteで耳障りだった金属音ですが、G913TKLでは比較にならないくらい小さくなっています。多少は聞こえますが、何か別の物音があれば聞こえなくなる程度の音量なので、全然気になりません。

無線接続

無線は、LIGHTSPEEDというLogicoolの独自規格で、残念ながらUnifyingとは互換性がありませんが、なんと「有線より速い」という意味不明な規格だそうです。無線通信に一日の長があるLogicoolなので、通信の安定性は抜群です。当然遅延など感じられるわけもありません。

そして、この独自規格の通信だけでなく、Bluetooth通信にも対応しており、ボタン一つで簡単に切り替えられます。そのため、普段はUSBレシーバーを差したデスクトップPCに繋ぎ、ボタン一つでスマホタブレット、ノートPCなどに接続先を切り替えると言った使い方が可能です。私はタブレットもノートPCも全く使いませんが、スマホで長文や英数記号の混じった入力をするときなどには、フリック入力だと大変なのでキーボードを使うことがあります。

電池寿命

この製品は乾電池式ではなく、内蔵バッテリーにmicroUSBで充電する方式となっています。ここだけは非常に残念で、乾電池式にしてほしかったと思います。

ただ、ライトを点灯しなければ満充電から1124時間使えるようなので、私の場合半年以上は充電不要ということになると思います。それだけ長ければ、電池自体の寿命が来る頃にはキーボードの筐体の方が摩耗して使えなくなっている可能性が高いだろうと考えることにしました。

デザイン

マットブラックのキートップと金属感のある筐体がシックでいい感じです。ライトを点灯しても綺麗ですが、ライトを点灯していると電池寿命が一気に短くなるので、普段は常時消灯しています。

電源スイッチがキーボード側面(奥側)にあり、覗き込まないと見えないのは少し残念です。デザイン的には隠しておく方が美しいのでしょうか、やはりスイッチの位置や状態は一目で見えるところにあった方が便利です。

価格

定価30250円。実売価格で25500円と言ったところ。

私が激推しするLogicool K295の10倍近い価格です。くっそ高い

評価

ぼったくりとも思える価格なわけですが、問題は、価格差に見合った価値があるかどうかです。正直なところを言うと、そこまでの価値は無いと思います。打鍵感はK295もそれなりに良く、むしろ、慣れたメンブレンの打鍵感の方が好きという人にとっては、K295の方が静かで良いということも十分あり得ます。

打鍵感については完全に個人の趣味嗜好なので、メンブレンが他の方式より劣っているとは必ずしも言えません。私自身、G913TKLとK295の打鍵感について、「違い」はあっても明確な「上下」までは無いように感じています。滑らかに打てるという点ではG913の方が良いと思いますが、コトコトという静かな音などはK295の方が好きなので、手放しにG913の方が優れているとは言えません。

電池寿命や拡張キーなども含めて考えると、やはりK295の10倍の価値まではないと言わざるを得ません。はっきり言ってしまえば、K295のテンキーレスモデルが出たら、すぐそちらに買い替えると思います。キーのサイズを左右対称にしてもえるとなお良いですが、テンキーレスなだけでもOKです。

今回は、冒頭の条件をすべて満たすことを優先したため、価格度外視でG913TKLを自宅用にしました。見た目に高級感があって所有感を満たすというメリットもあるので、これをこのまま使用する予定です。本当に、K295のテンキーレスモデル出てほしいです…。

検討段階で対象から外したもの

HHKB Professional Hybrid Type-S

静電容量無接点方式で打ち心地が良いと評判のキーボード。

見たところスペースキーの位置・サイズも悪くないし、有線と無線の両対応、乾電池式と、良い感じに見えました。しかし、ミニキーボードでキー配列が特殊なので、どう考えても使い勝手が悪いと判断し、検討対象から外しました。

Realforce R3

同じく静電容量無接点方式で、標準配列のテンキーレス。スペースキーも短めで無線、乾電池式。USB-CtoAで有線接続にも対応。

素晴らしい、条件はクリアしていると思い、G913TKLと最後まで比較検討していました。ただ、無線の方式がBluetoothのみのため、その点に弱みがありました。Bluetooth全般に言える、スリープ解除やBIOS操作できないというデメリットもありますが、それだけでなく、一定時間使用しないと省電力モードになり、スイッチを押さないとキー入力できない仕様だったのです。その後ファームウェアアップデートにより、省電力モードに移行しない設定もできるようになったようですが、そうすると今度は電池持ちが非常に悪くなり、2か月程度で電池が切れてしまうらしいのです。さすがに電池が半年もたないというのは残念すぎます。

もちろん、有線にも対応しているんだから有線で使えばいいということにはなると思いますが、それならそもそもこの製品である必要はなく、旧モデルで良いのです。そして、ワイヤレスを捨てるならG913TKLでええやんとなるわけです。

また、G913と比べて、Realforce R3はキーボードがかなり厚くなっています。具体的には、G913が高さ22mmなのに対し、Realforce R3は高さ30mmとなっています。8mmの差は大きく、G913のキートップ1つ分くらいの高さになります。パームレスト必須というのは、やはりマイナス要素でした。

そういうわけで、Realforceも除外されました。

結論

今回は、テンキーレスという条件を加えてそれなりの打鍵感も求めた結果Logicool G913TKLとなりましたが、フルキーボードで良いというのであれば、Logicool K295が最強です。打鍵感を全く気にしなければ、エレコム TK-FDM105TXBKあたりで良かったかもしれません。

万が一K295のテンキーレスモデルが出たら、それで決まりです。

追記(2022/03/13)

G913は、全体的に良いのですが、キートップがガッタガタです。滅茶苦茶ぐらつきます。キートップのぐらつきが嫌な人は避けた方が良さそうです。