日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

キーボード探しの旅

弁護士に限らず、あらゆる事務職においてパソコンは必須であり、文字を打つためのキーボードは非常に重要なガジェットと言えます。キースイッチの方式により安いものから高いものまで色々あり、35000円もする高級キーボードもあります。

今回、プライベート用のキーボードを買い替えるにあたり、最終的にはLogicoolのG913TKLを選びましたが、それまでに多少遍歴があったので、まとめてみました。

希望条件

私がキーボードに求める条件は以下の4点です。

  1. ワイヤレス
  2. スペースキーが短め
  3. テンキーレス
  4. 打ち心地が良い

ワイヤレス

私はデスクトップPCしか使わないので、有線でもそれほど問題はないのですが、やはり配線がないとデスクがすっきりしますし、どけるのが楽になります。一度無線に慣れると有線は避けたい気持ちが強くなります。

スペースキーが短め

私は、AutoHotkeyというWindows用ソフトウェアで思いっきりキーカスタマイズしており、日本語入力のON/OFFやモデファイアキーとして、無変換キーと変換キーを酷使しています。そのため、ホームポジションに手を置いた時、左右の親指が無変換キー/変換キーの上に来るようなポジションがベストです。

テンキーレス

テンキー付きのフルキーボードは、マウスとホームポジションの間を行き来するために右手を大きく動かさなければならず、ホームポジションも画面や自分の身体の中心よりかなり左にずれてしまいます。それが地味に苦痛でした。テンキー自体は多用するのですが、テンキーだけのキーボードは別に買って用意できます(実際そうした)。

打ち心地が良い

ここで言う打ち心地は、いわゆる打鍵感というより、キーの配置や大きさ、キートップの高さ、ストロークの深さ、反応の良さなどです。「打ちやすさ」と言い換えてもいいでしょう。

元々使っていたキーボード:Logicool K270

元々愛用していたのは、Logicool K270です。

フルキーボードである以外、私の希望をすべて満たし、その上わずか1800円程度(2022年2月現在)という激安キーボード。

このキーボードの特徴は、以下のとおりです。

長所

電池寿命が長い
毎日の使用時間によりますが、公称通り2年くらいもちます。しかも乾電池なので切れたら即交換して復活。
Unifying対応
独自の無線レシーバーを使用するタイプですが、レシーバーが非常に小さく、Logicoolの他の製品(マウス等)と1個のレシーバーを共用できるので、その分USBポートを空けておけます。
特殊キー
上の方に、オプション的な小さいキーがあります。音量操作やスリープ、電卓起動キーは地味に便利です。

:キーボードの表面にスイッチがある:掃除の時などに簡単にスイッチを切れて、ON/OFFが一目で分かるのは意外と重要です。

頑丈
7年以上使用していましたが、キーが効かなくなるとかの故障は全くありませんでした。水抜け穴が開いており、液体にも強いです。

短所

最下段のキー形状がやや変
なぜか右Alt、右Ctrl、アプリケーションキーのサイズが大きく、最下段が全体的にやや左に詰められています。右Ctrlキーなんて絶対使わないので、無駄としか思えません。その分スペースキーをホームポジションに対して真ん中に配置してほしいところです。あと、スペースキーのあたりが下に膨らんでいるのも意味を感じません。
安っぽい
実際安いので仕方ないです。ただ、安っぽいプラスチックの筐体は、軽さにも繋がるので、悪い面ばかりではないでしょう。

評価

以上のように素晴らしいキーボードだったのですが、さすがに7年も使っているとプラスチックの摩耗が激しく、左Shiftキーの滑りが悪くなってきたのと、ホームポジションのポッチがすり減って指先で感じ取るのが難しいレベルになったため、買い替えることにしました。

この後お高いキーボードについても購入していますが、はっきり言って、コスパで言ったらこのキーボードが最強です。メーカーでは既に生産終了しているようですが、Amazonなどではまだ買えます。

エレコム TK-TB01DMBK

まず、「テンキーではなくマウスをなくせば良いのでは?」という発想から、トラックボール付きキーボードという変わり種を購入してみました。

しかし、結論から言ってこれは大失敗。

トラックボールやマウスボタンの配置的に、マウスジェスチャーが使いにくいし、真ん中にトラックボールがあるせいで邪魔な感じもしました。キーボードの方も、キーが深すぎて慣れませんでした。結局、マウスを使うよりかえって生産性が落ちると判断し、1か月半ほど使って売ってしまいました。

Logicool K295

キワモノに懲りたので、次は、元々使っていたキーボードの後継機であり、静音モデルであるK295を購入しました。K270に静音性能を加えたモデルです。

静音性

打鍵音は本当に静かになっています。K270が「カチャカチャ」という感じだったのに対し、K295は「コトコト」という感じです。静音キーボードは他にも色々な商品を試し打ちしましたが、トップレベルと言っていいと思います。ちなみに、メカニカルの静音キーボードは、どれも静音を名乗ってはいけないと思います。

打ち心地

キースイッチはメンブレン方式ですが、「ぐにゅん」というゴムの感触があまりなく、しっかり打てている感じがあります。K270よりもキーのぐらつきや押下中の引っ掛かりも軽減されているため、静音化したというだけでなく、打鍵感も向上していると感じました。特にキートップのぐらつきは非常に少なく、表面をなでても全然カチャカチャ鳴りません。ぐらつきの少なさは後述のG913TKLよりずっと優秀です。

デザイン

形状はK270と全く変わらないのですが、色が異なります。

K270が完全な黒だったのに対し、K295はグラファイトとホワイトの2種です。「グラファイト」は、真っ黒ではなくやや灰色がかった感じです。最初は違和感がありましたが、慣れると味があります。PC周りを白で統一している人ならホワイトも良いと思います。

ただ、フルキーボードタイプしかありません。

価格

定価2970円。実売価格は2700円程度。上記のような向上点を考えると妥当な価格差だと思います。

評価

コスパ的にほぼ最高のキーボードなので、買って損はありません。非常に静かなので、職場ではこれを使用しています。これのテンキーレスモデルさえあれば、他のキーボードなど検討する余地もなかったでしょう。

エレコム TK-FBM093SBK

K295は素晴らしいキーボードですが、やはりテンキーレスが欲しい、ということで、キーボードはどこまで小さくしても平気なのか確認する意味で、極小キーボードを買ってみました。エレコムメンブレン式ミニキーボードを買ってみたのですが、これも全く合いませんでした。

打ち心地

ゴム感強い、ぐらつく、反応悪いと、打鍵感は最悪でした。

矢印キーが小さく詰め込まれ、PageDown/UpやHome/Endキーがない配列ですが、滅茶苦茶使いづらいです。DeleteキーがBackSpaceキーのすぐ上にあるのもミスタイプを誘発する最悪の配置。左下に余計なFnキーがあるのも邪魔なだけでした。

小さいながらもファンクションキーがあるのでまだマシですが、こういう省スペースのための特殊配列は全く受け付けないと分かったので、これを買ったおかげでHHKBを検討対象から除外するのに、あまりお金をかけずに済みました。

無線接続

USBレシーバー式とBluetooth式のうちBluetooth式を選んだのですが、結論として、キーボードでBluetooth式はダメという結論に至りました。

Bluetooth式だと、キーボードからPCのスリープモードを解除できません。しかも調べてみると、BIOSの操作にも使えないようです。そうなると、何かあった時に別のキーボードを用意してこなければならず、非常に面倒です。製品によるのかもしれませんが、しばらく使用せずスリープモードに入ると、最初の打鍵を認識しなかったりもするので、はっきり言って使い物になりません。

デスクトップ用のワイヤレスキーボードでBluetooth買ってはいけないと分かったのも、このキーボードを買って良かった点です。

価格

新品だと3000円弱します。この品質でこの価格は論外です。

評価

正直言って、使い物になりませんでした。同じエレコムでも、通常配列のテンキーレスでUSBレシーバー式であるTK-FDM105TXBKは比較的評判が良いらしく、後日店頭で試し打ちしたときにも打鍵感は普通でした。エレコムで選ぶならそちらになると思います。

④ Razer BlackWidow Lite JP

エレコムの打鍵感の酷さ、特殊配列の使いにくさに辟易したことから、いっそメカニカルキーボードを試そうと思い、有線ではあるものの安くてスペースキーの小さいRazer BlackWidow Liteの日本語配列を買ってみました。

打ち心地

Razer社独自のオレンジ軸で、軽いカチカチ感が心地よく、キーの反応も良好でした。

ただ、やはりメカニカルなのでキーボードが厚く、ホームポジションに手を置くと掌底あたりがキーに触れてしまう状態でした。パームレストがないときついかなぁと感じました。

厚みだけならパームレストで対応可能だったのですが、このキーボードできつかったのは、打鍵時の金属音です。メカニカルキーボードは、一般的にカーンという金属音が響くものらしいのですが、「所詮タイプ音だし、まぁそこまで気にならないだろう」と思っていました。しかし、実際打ってみると、本当にキーを打つたびにカーン!という金属音が大きく響き、K295の「コトコト」という落ち着いた静かな音に比べてかなりうるさいし耳障りだったので、思った以上に苦痛でした。

キー配列自体は標準的なものですが、最下段のキーのサイズがおかしくて、地味に打ちづらいと感じました。

上記のとおり私は無変換/変換キーを多用しているのですが、無変換キーと変換キーのサイズが全然違い、その分スペースキーが左に寄りすぎています。スペースキーが小さいこと自体は良いことなのですが、真ん中からキー1個分左にずれてしまっているので、タイプミスを頻発しました。私は主に右の親指でスペースキーを打つのですが、ホームポジションに自然に手を置くと親指は大体Nキーの右半分あたりに来ます。ところが、このキーボードのNキーの下には変換キーがあるので、スペースキーを打つには親指を意図的に伸ばさないといけません。そのわずかな動きが意外と面倒でした。

デザイン

有線ではありますが、ケーブルは本体から取り外せるので、取り回しは良い感じでした。白のみのバックライトがなかなか見やすく、ライトを点灯していても電池が気にならないという点で、有線にもメリットがあります。

カラーは黒と白で、私は黒を購入しましたが、白の方がバックライトとマッチして綺麗という評判です。

価格

新品で9980円。1万円を切るのは、メカニカルキーボードの中では安い方だと思います。金属音やキーのサイズについて気にならないのであれば、コスパは悪くないと思います。

評価

打鍵感はかなり良く、有線であることも許容できるレベルだったのですが、それだけに金属音とスペースキーの位置が気になりました。打鍵感の良さは「打っていて気持ちが良い」というだけであるのに対し、金属音はその気持ち良さを低減し、スペースキーの位置は気持ち良さにとどまらない生産性の低減を招く要素です。

したがって、総合的にはあまり高い評価をすることはできず、結局すぐ売ってしまいました。

Logicool G913TKL

その後も、ワイヤレス、スペースキー短め、テンキーレス、打ち心地良好という条件で絞っていき、Logicool G913TKLに辿り着きました。

打ち心地

まず、薄型なのでパームレストなしでも掌底がキーに当たりません。

そして、このキーボードはキースイッチのクリック感によって3種類が用意されているのですが、私は、クリック感(カチッという引っ掛かり)がない「リニア軸」を選びました。カチカチ感がなく、浅い打ち込みでも反応することから、非常に滑らかにキーを打つことができます。個人的にはこのスルスルした感じが好きなので、正解だったと思います。キーがもう少しだけ軽ければ良かったかなとは思いますが、そこまで気になりません。

キーの配置とサイズも、最下段のキー列がホームポジションに対してほぼ左右対称なので使いやすいです。

キーとは少し違いますが、音量変更がホイールになっており、ポチポチポチと連打することなく、指でスーッと撫でれば音量を上下できます。YouTubeなどで別の動画に移った時に音量差が大きいと、これで音量を変えられるのが便利です。

それと、BlackWidow Liteで耳障りだった金属音ですが、G913TKLでは比較にならないくらい小さくなっています。多少は聞こえますが、何か別の物音があれば聞こえなくなる程度の音量なので、全然気になりません。

無線接続

無線は、LIGHTSPEEDというLogicoolの独自規格で、残念ながらUnifyingとは互換性がありませんが、なんと「有線より速い」という意味不明な規格だそうです。無線通信に一日の長があるLogicoolなので、通信の安定性は抜群です。当然遅延など感じられるわけもありません。

そして、この独自規格の通信だけでなく、Bluetooth通信にも対応しており、ボタン一つで簡単に切り替えられます。そのため、普段はUSBレシーバーを差したデスクトップPCに繋ぎ、ボタン一つでスマホタブレット、ノートPCなどに接続先を切り替えると言った使い方が可能です。私はタブレットもノートPCも全く使いませんが、スマホで長文や英数記号の混じった入力をするときなどには、フリック入力だと大変なのでキーボードを使うことがあります。

電池寿命

この製品は乾電池式ではなく、内蔵バッテリーにmicroUSBで充電する方式となっています。ここだけは非常に残念で、乾電池式にしてほしかったと思います。

ただ、ライトを点灯しなければ満充電から1124時間使えるようなので、私の場合半年以上は充電不要ということになると思います。それだけ長ければ、電池自体の寿命が来る頃にはキーボードの筐体の方が摩耗して使えなくなっている可能性が高いだろうと考えることにしました。

デザイン

マットブラックのキートップと金属感のある筐体がシックでいい感じです。ライトを点灯しても綺麗ですが、ライトを点灯していると電池寿命が一気に短くなるので、普段は常時消灯しています。

電源スイッチがキーボード側面(奥側)にあり、覗き込まないと見えないのは少し残念です。デザイン的には隠しておく方が美しいのでしょうか、やはりスイッチの位置や状態は一目で見えるところにあった方が便利です。

価格

定価30250円。実売価格で25500円と言ったところ。

私が激推しするLogicool K295の10倍近い価格です。くっそ高い

評価

ぼったくりとも思える価格なわけですが、問題は、価格差に見合った価値があるかどうかです。正直なところを言うと、そこまでの価値は無いと思います。打鍵感はK295もそれなりに良く、むしろ、慣れたメンブレンの打鍵感の方が好きという人にとっては、K295の方が静かで良いということも十分あり得ます。

打鍵感については完全に個人の趣味嗜好なので、メンブレンが他の方式より劣っているとは必ずしも言えません。私自身、G913TKLとK295の打鍵感について、「違い」はあっても明確な「上下」までは無いように感じています。滑らかに打てるという点ではG913の方が良いと思いますが、コトコトという静かな音などはK295の方が好きなので、手放しにG913の方が優れているとは言えません。

電池寿命や拡張キーなども含めて考えると、やはりK295の10倍の価値まではないと言わざるを得ません。はっきり言ってしまえば、K295のテンキーレスモデルが出たら、すぐそちらに買い替えると思います。キーのサイズを左右対称にしてもえるとなお良いですが、テンキーレスなだけでもOKです。

今回は、冒頭の条件をすべて満たすことを優先したため、価格度外視でG913TKLを自宅用にしました。見た目に高級感があって所有感を満たすというメリットもあるので、これをこのまま使用する予定です。本当に、K295のテンキーレスモデル出てほしいです…。

検討段階で対象から外したもの

HHKB Professional Hybrid Type-S

静電容量無接点方式で打ち心地が良いと評判のキーボード。

見たところスペースキーの位置・サイズも悪くないし、有線と無線の両対応、乾電池式と、良い感じに見えました。しかし、ミニキーボードでキー配列が特殊なので、どう考えても使い勝手が悪いと判断し、検討対象から外しました。

Realforce R3

同じく静電容量無接点方式で、標準配列のテンキーレス。スペースキーも短めで無線、乾電池式。USB-CtoAで有線接続にも対応。

素晴らしい、条件はクリアしていると思い、G913TKLと最後まで比較検討していました。ただ、無線の方式がBluetoothのみのため、その点に弱みがありました。Bluetooth全般に言える、スリープ解除やBIOS操作できないというデメリットもありますが、それだけでなく、一定時間使用しないと省電力モードになり、スイッチを押さないとキー入力できない仕様だったのです。その後ファームウェアアップデートにより、省電力モードに移行しない設定もできるようになったようですが、そうすると今度は電池持ちが非常に悪くなり、2か月程度で電池が切れてしまうらしいのです。さすがに電池が半年もたないというのは残念すぎます。

もちろん、有線にも対応しているんだから有線で使えばいいということにはなると思いますが、それならそもそもこの製品である必要はなく、旧モデルで良いのです。そして、ワイヤレスを捨てるならG913TKLでええやんとなるわけです。

また、G913と比べて、Realforce R3はキーボードがかなり厚くなっています。具体的には、G913が高さ22mmなのに対し、Realforce R3は高さ30mmとなっています。8mmの差は大きく、G913のキートップ1つ分くらいの高さになります。パームレスト必須というのは、やはりマイナス要素でした。

そういうわけで、Realforceも除外されました。

結論

今回は、テンキーレスという条件を加えてそれなりの打鍵感も求めた結果Logicool G913TKLとなりましたが、フルキーボードで良いというのであれば、Logicool K295が最強です。打鍵感を全く気にしなければ、エレコム TK-FDM105TXBKあたりで良かったかもしれません。

万が一K295のテンキーレスモデルが出たら、それで決まりです。

追記(2022/03/13)

G913は、全体的に良いのですが、キートップがガッタガタです。滅茶苦茶ぐらつきます。キートップのぐらつきが嫌な人は避けた方が良さそうです。

事務職員能力認定試験 第12回解説(問54~60)

54

  1. 正)民事訴訟は「訴状を裁判所に提出してしなければならない」(民訴法133条1項)、刑事訴訟は「起訴状を提出してこれをしなければならない」(刑訴法256条1項)。
  2. 誤)民事訴訟でも、裁判所が不要と判断すれば証拠採用されない(民訴法181条1項)。刑事訴訟では、裁判所の許可というよりも、検察側又は弁護側の同意(刑訴法326条1項)や異議の有無が問題となる。
  3. 正)「訴訟代理人の権限は、書面で証明しなければならない」(民訴規則23条1項)ため、民事訴訟では委任状を提出する。刑事訴訟では、「弁護人の選任は、弁護人と連署した書面」=弁護人選任届を差し出さなければならない(刑訴規則17条、18条)。
  4. 正)民訴法54条、刑訴法30条等。正確には、刑事訴訟では「被告」ではなく「被告人」だが、単なる誤字脱字だろう。

55

  1. 正)公判前には、起訴状以外の資料を裁判所に提出してはいけない(起訴状一本主義、刑訴法256条)。裁判所の予断を排除するためである。したがって、第1回公判前の記録は検察庁にある。検察官は、証拠等について閲覧する機会を与えなければならない(刑訴法299条1項)が、弁護側と異なり「提示」までする必要はないので(刑訴規則178条の6第1項1号)、検察庁に行って閲覧・謄写しなければならない。
  2. 正)公判で弁護人が同意した記録は、証拠として提出され裁判所にあるので、裁判所で閲覧・謄写できる(刑訴法40条1項)。
  3. 正)弁護人が同意しなかった場合は、伝聞例外(刑訴法321条以下)などで証拠採用されない限り、裁判所には提出されないから、検察庁にある。したがって、公判前と同様に検察庁で閲覧・謄写できる。
  4. 誤)判決確定後は、検察官が記録を保管し(刑事確定訴訟記録法2条1項)、検察官に対して閲覧の請求をする(同法4条1項)。

56

  1. 正)設問のとおり。
  2. 正)設問のとおり。
  3. 誤)2018年(平成30年)の刑事訴訟法改正により、被疑者段階でも全件国選対象事件となった(刑訴法37条の2第1項)。
  4. 正)法テラスが候補者リストの管理と打診を担う制度になっており、法テラスと契約しなければ国選弁護人には指名・選任されない。

57

  1. 正)「裁判官の員数は三人、裁判員の員数は六人とし、裁判官のうち一人を裁判長とする」(裁判員法2条2項)。ただし、一定の簡易な事件では裁判官1名・裁判員4名の合議体を構成することもある(裁判員法3項、2項但書)ので、迷いやすい。
  2. 誤)「地方裁判所は」(裁判員法2条1項等)と限定しているので、簡易裁判所の事件にはならない。地方裁判所に限定されていることから、一審のみである点は正しい。
  3. 正)裁判員になれない者は、裁判員法15条1項各号に列挙されている。弁護士及び元弁護士は第6号に挙がっているが、事務職員は制限対象に挙がっていない。
  4. 正)裁判員法56条(証人)、58条(被害者)、59条(被告人)。

58

  1. 正)刑事では、民事と異なり(民訴法252条)、判決の言渡しを判決書に基づいて行うべきとする規定がない。したがって、判決書がなくても言渡しができる。
  2. 正)刑事の判決書は、交付請求をしないと手に入らない。ちなみに、民事では自動的に送達される(民訴法255条1項)。
  3. 正)刑訴法373条。文言としては14日。
  4. 誤)申立書を第一審裁判所である簡易裁判所に提出する点は正しい(刑訴法374条)。しかし、刑事については、一審が簡易裁判所でも控訴審高等裁判所となる(裁判所法16条1号)。

59

  1. 正)家庭裁判所の許可があれば、保護者も付添人になれる(少年法10条2項)。
  2. 正)「付添人を選任するには、付添人と連署した書面を差し出すものとする」(少年審判規則14条2項)とされ、捜査段階で弁護人選任届を提出している場合も特に例外とはなっていない。
  3. 誤)「少年及び保護者は…選任することができる」(少年法10条1項)とされ、少年自身も選任できる。
  4. 正)少年審判規則7条2項。ただし、閲覧のみであり、謄写は許可が必要。

60

  1. 誤)受任中の事件の相手方からは、別件であっても受任できない(弁護士職務基本規程27条3号、弁護士法25条3号)が、既に終了した事件の相手方からであれば、禁止されていない。
  2. 正)誤解しやすい表現や、品位を損なう広告・宣伝は禁止される(弁護士職務基本規程9条1項、2項)。
  3. 正)「名目のいかんを問わず、被告人その他の関係者から報酬その他の対価を受領してはならない」(弁護士職務基本規程49条1項)。
  4. 正)弁護士職務基本規程57条。「職務の公正を保ち得る事由があるとき」は例外となるが、一切情報交換されないことを物理的・客観的に担保された状態を確保しなければならず、実質的にはほぼあり得ない。

事務職員能力認定試験 第12回解説(問46~53)

46

グレーゾーン金利とは、利息制限法の上限金利を超え、旧出資法の上限金利を超えない範囲の金利のこと。旧貸金業法では、一定の要件を満たせばグレーゾーン金利の弁済も有効な弁済とされていたため、事実上利息制限法の上限を超える金利での貸付が横行していた。

2006年にグレーゾーン金利部分を無効とする最高裁判決が出たため、過払金バブルが到来し、法律上も上限金利を利息制限法に合わせる改正がなされた。

  1. 正)2010年までに法改正とその施行が完了し、グレーゾーン金利は撤廃された。
  2. 正)貸金業法12条の8第1項で利息制限法の上限金利を超える契約は禁止され、超えた部分は民事上無効であり、行政処分の対象となる。
  3. 正)出資法5条2項。
  4. 誤)いわゆる総量規制だが、年収の2分の1ではなく、3分の1(貸金業法13条の2第2項)。

47

  1. 正)破産法248条4項。
  2. 誤)申立ては「債権者又は債務者」がすることができる(破産法18条1項)。
  3. 誤)個人であれば債務者の住所地となることが多い(破産法5条1項、民訴法4条2項)が、営業者であれば主たる営業所(破産法5条1項)、営業所や住所がなければ居所となる。その他、法人や夫婦同時申立などについて特則がある(破産法5条2項以下)。
  4. 誤)申立て自体を制限されることはない。というか、申し立てないと免責不許可事由の有無も判断しようがない。更に、免責不許可事由があっても、裁判所が相当と認めれば免責される(裁量免責、破産法252条2項)。

48

  1. 居住地から離れるには裁判所の許可が必要(破産法37条1項)。
  2. 管財事件では、管財人が破産者宛ての郵便物を受領し(破産法81条1項)、中身を見ることができる(同82条1項)。
  3. 「自由財産」は、制限を受けずに自由に処分できる財産。具体的には、破産開始後に得た財産(新得財産、破産法34条1項)、差押禁止財産(同条2項2号)、99万円以下の現金(同条2項1号)などの本来的自由財産のほか、自由財産の拡張が認められた範囲(同条4項)など。
  4. 公正さが求められる一定の職業については、その職業に関する各法律で破産者の資格を制限している。個人で問題となりやすいのは、士業、警備員(警備業法14条1項)、生命保険の外交員(保険業法279条1項1号)など。

49

  1. 正)破産手続は、管財事件が原則であり、破産手続の費用すら支出できないことが明らかな場合に同時廃止(管財人を付けずに破産手続を終了する)となる。法人の場合は、個人よりも権利義務関係が複雑多様であり、利害関係人も多いため、原則として管財人の精査なく終了することはない。
  2. 正)法人は破産によって消滅し(会社法471条5号など)、権利義務の主体でなくなるから、免責の必要性がない。なお、実体上は破産開始時に消滅するが、破産手続の終了までは破産のためという限定付きで存続するものとみなされる(破産法35条)。
  3. 正)上記のとおり法人は破産により消滅するので、財産が残ってもその帰属先は存在しないことになる。よって、何も残らないように原則としてすべての財産が処分される。
  4. 誤)法人破産の場合は、「支払不能又は債務超過」が破産の開始要件となる(破産法16条1項)。

50

  1. 誤)いわゆる非免責債権については、弁済義務は消えない(破産法253条1項各号)。税金(1号)や婚費・養育費(4号ロ・ハ)などについて問題となることが多い。
  2. 正)免責許可決定の確定による復権(破産法255条1項1号)。
  3. 正)免責許可決定の効力は、「確定したとき」に生じる(破産法253条1項)。
  4. 正)破産法253条2項。むしろ主債務者が破産したときのための保証人。

51

管財人は、「破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利」を有する(破産法78条1項)ので、会社の財産や権利義務に関する処分・保全は管財人の仕事となる。

  1. 雇用契約が維持されているのであれば、会社に代わって管財人が行う。
  2. 法人破産の場合は、書記官が職権で破産開始・終結等の登記を行う(破産法257条1項、7項)。管財人の仕事ではない。
  3. 租税は財団債権又は優先的破産債権となり、その支払いは破産財団を管理する管財人の仕事である。
  4. 法令上の各種書類保管義務は、破産手続が開始しても消滅しない。

52

  1. 誤)個人再生については、5000万円を超える場合は利用できない(民事再生法221条1項、239条1項)。ただし、「住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く」ため、住宅ローンなどは差し引いた額となる。したがって、「全ての債務の合計額」の点が誤り。
  2. 正)設問のとおり。
  3. 正)個人再生とは、小規模個人再生(民事再生法221条1項)と給与所得者等再生(同239条1項)を指し、いずれも「個人である債務者」を対象としているため、法人は利用できない。
  4. 正)住宅資金特別条項(民事再生法196条4号)を定めた弁済計画が認められた場合は、自宅を維持する(住宅ローンを契約どおり返済する)ことができる。個人再生のメリットは、ただこの一点にあると言っても過言ではない。

53

  1. 正)民事再生法239条1項。
  2. 誤)住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)は、給与所得者等再生に限定していない。
  3. 正)民事再生法241条2項7号。可処分所得の2年分以上を弁済しなければならない。
  4. 正)小規模個人再生の場合、債権者によって再生計画が可決されなければならず(民事再生法231条1項)、債権額の過半数が反対すると不認可となる(民事再生法230条6項)。これに対し、給与所得者等再生では債権者の決議を要件としていないため、裁判所の判断で認可できる(民事再生法241条)。安定収入等の要件を厳しくする代わりに、債権者が反対しても再生を認める趣旨である。ただ、一般個人の再生計画について債権者が異議を出すこと自体が少ないので、現状では給与所得者等再生を利用するメリットはほぼないと言っていい。

事務職員能力認定試験 第12回解説(問39~45)

39

相続人の順序は、①子、②直系尊属、③兄弟姉妹であり、配偶者はこれらと並んで常に相続人となる(民法887条1項、889条1項)。本問では、配偶者と①がなく、唯一の②が相続放棄したため、③の範囲に含まれる者が法定相続人となる。

Dは単純な兄弟姉妹であるから当然に含まれる。

Eは異母妹であり、いわゆる半血兄弟姉妹であるが、兄弟姉妹であることに変わりはない。

Fの父親CはAの兄弟姉妹として相続人となるが、Cが既に死亡しているため、Fが代襲相続人となる(民法889条2項、887条2項)。

GはAの両親の養子である。Aとは血縁関係はないが、養子は養親の嫡出子となる(民法809条)から、法律上はAと兄弟姉妹となる。

40

「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする」(民法900条4号但書)。前者を半血兄弟姉妹、後者を全血兄弟姉妹という。

Dはもちろん、夫婦ともに養子縁組しているGも法律上は全血兄弟姉妹である。Cの代襲相続人であるFも、CがAの全血兄弟姉妹であることから、法定相続分はCと同様となる。

すなわち、DEFGのなかでEのみが半血兄弟姉妹として、相続分が半分になる。

したがって、D:E:F:G=1:0.5:1:1=2:1:2:2という関係になるので、Dの法定相続分は7分の2である。

41

  1. 誤)特別養子縁組が成立すると、「養子と実方の父母及びその血族との親族関係は…終了する」(民法817条の9)。したがって、Xは法律上実親の子ではなく、相続人にもならない。
  2. 正)現行民法法律婚主義を採用しているため、内縁の妻は「配偶者」に当たらず、相続人にならない。
  3. 正)民法886条1項、2項。
  4. 正)子の代襲相続は、代襲者が既に死亡している場合等にも準用されるので、無限に直系卑属を辿っていく(民法887条2項、3項)。なお、被代襲者が被相続人の兄弟姉妹の場合は、民法887条2項しか準用されていないため、1回(甥姪まで)で止まる。

42

特別受益(婚姻のためや生計の資本として受けた贈与等)は、その価額を一旦相続財産に戻して計算する。つまり、本問では丙の受けた特別受益800万円を現存する相続財産7200万円に加え、8000万円が相続財産であるとして計算することになる(民法903条1項)。

次に、遺留分(遺言等でも削れない取り分)は、子または配偶者がいる場合、2分の1×各法定相続分となる。したがって、丙と丁の遺留分は、8000万円×2分の1×4分の1=1000万円となる。

丁はこれがそのまま遺留分となるが、丙は既に特別受益800万円を受けているから、これを差し引き(民法1046条2項1号)、残額200万円が遺留分の額となる。

43

2020年7月1日施行の現行法で、遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求に制度が改正された。特に経過措置はないので、同日付以降の相続は遺留分侵害額請求、それより前の相続は遺留分減殺請求をする。

基準となるのは相続の発生日(被相続人の死亡日)なので、遺言の時期は関係ない。

44

  1. 正)法定相続情報制度について定める不動産登記規則(247条以下)には、交付の申出について手数料の定めはなく、費用はかからない。
  2. 誤)申出人の住所地を管轄する登記所でも可(不登規則247条1項)。
  3. 正)「相続人又は当該相続人の地位を相続により承継した者」なら誰でも良い(不登規則247条1項)。
  4. △)【法改正により正答が変わった設問】令和3年4月1日施行の改正により、押印は不要となっており、現在ならこれも誤りとなる。改正前不登規則247条3項では、「申出人又はその代理人が記名押印する」となっていた。

45

  1. 正)民法15条2項。なお、後見や保佐は不要。
  2. 正)民法7条。ちなみに検察官も申し立てることができる。
  3. 誤)一旦申立てがなされれば、家庭裁判所が要否を判断する。後見等の申立ては、判断能力を欠く者を保護するための公益的制度であるから、申立人の自由な処分権に委ねるべきではないという趣旨である。
  4. 正)家事事件手続法117条1項。本人保護のための制度であるから、本人の住所地を基準とする。

事務職員能力認定試験 第12回解説(問31~38)

31

  1. 正)家事事件手続法244条。家事事件のうち、別表第二の事件は、当事者同士の紛争性が高いことから、話し合いによる解決が期待され、調停の対象事件にもなっている。
  2. 誤)家事審判に当然に移行するのは、家事事件手続法別表第二の事件のみ(家事事件手続法272条4項)。
  3. 正)民事訴訟費用等に関する法律別表第一第15項、第15項の2。
  4. 正)即時抗告できる審判は個別に定められており(家事事件手続法85条1項)、即時抗告できない審判もあるので厳密に正しいと言えるかは微妙だが、「不満がある当事者」を想定できる審判は通常即時抗告の定めがあるので、一応正しい。家庭裁判所上級審高等裁判所になるので、管轄は高等裁判所である。ただし、抗告状の提出先は原裁判所たる家庭裁判所となる。

32

  1. 誤)「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所」(家事事件手続法245条1項)。
  2. 正)有責配偶者であっても特に制限はない。離婚訴訟で事実上不利に働くだけである。
  3. 正)民事訴訟費用等に関する法律3条1項、別表1第15項の2。離婚等請求調停事件は、養育費・財産分与等の申立ても1個の調停事件の中で扱うため、手数料も1件分。婚姻費用分担請求調停を同時に申し立てる場合は、別個の調停事件になるので、2件分で2400円必要になる。
  4. 正)明文はないが、家庭裁判所は手続きの円滑な進行のため「身分関係についての資料」の提出を求めることができる(家事事件手続規則37条3項、127条)としており、戸籍謄本がこれに該当すると解されている。

33

家事事件手続法の別表は、1が公益的な事項、2が当事者紛争的な事項が定められている。

要するに、関係者間に対立があり、裁判所が判断するより、まずは対立当事者同士で話し合った方が良さそうなものは別表2と思っておけばよい。肢3はまさにこれに該当する。

肢1,2,4は、関係者ではなく裁判所が判断すべき事項。

34

  1. 正)家事事件手続法24条。
  2. 誤)「手続代理委任状」を提出する。家事調停・審判と訴訟は別個の手続。
  3. 正)(根拠調査中)
  4. 正)家事事件手続法24条2項1号。特別委任が必要な事項は、その権限を与えることを個別に明示しなければ、自動的には権限が与えられない。したがって、委任状には同条各号の事項を個別に記載しておく必要がある。

35

「裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるとき」は、調停前置が不要となる(家事事件手続法257条2項但書)。

調停前置主義の趣旨は、できるだけ当事者同士の話し合いで解決することが望ましいという点にあるので、そのような解決が望めない場合は調停前置は不要と解される。

肢1,2,4は、いずれも当事者同士での話し合いの見込みがない。

肢3は、被告がおり、かつ争う姿勢を見せているのであるから、話し合いによる解決の見込みがないとは言えない。

36

  1. 誤)離婚の財産分与は、「離婚の時から二年を経過したときは」請求できない(民法768条2項但書)。逆に言うと2年以内なら離婚後でも可能であり、訴えと同時である必要はない。
  2. 正)民法819条2項。親権は子にとって極めて重要なので、請求がなくても離婚する際には定めなければならない。
  3. 正)離婚原因は民法770条1項各号に定められている。これらの事由は離婚の要件なので、請求原因事実としていずれかに該当する旨の主張がなければ、請求が成り立たない。
  4. 正)人事訴訟の管轄は家庭裁判所に専属する(人訴法4条)ため、慰謝料請求を併合していても家庭裁判所に提起しなければならない。

37

離婚自体については非財産権上の請求として訴額が160万円とみなされる(民訴費用法4条2項)。そして、離婚とともに求める財産分与、養育費請求、親権者指定は,附帯処分(人訴法32条)となり,分与額は訴額計算に含めない。よって訴額は160万円。

離婚訴訟で附帯処分を申し立てる場合は、申立件数×1200円の手数料を要する(民訴費用法別表第一の15の2)。ただし、親権者の指定は裁判所が職権で行わなければならない(民法819条2項)ので、手数料不要。他方、養育費については、子の人数分手数料が必要。本問では、財産分与と子1人分の養育費請求で2件分2400円を加算する。

38

  1. 誤)裁判上の和解は、調書作成により確定判決と同一の効力を有する(民訴法267条)。そして、離婚の裁判が確定した場合、「訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない」(戸籍法77条1項、63条1項)となっているため、原告による届出が必要。なお、10日以内に原告が届出をしない場合は、被告の方でも手続可能(戸籍法77条1項、63条2項)。
  2. 正)戸籍法77条1項、63条1項。
  3. 正)上記のとおり、「謄本」を添附することとされている。細かい離婚条件を提出しなくて済むように、「原告と被告は離婚する」の部分だけの省略謄本を作成してもらうのが通常。
  4. 正)協議離婚の場合は、「離婚をしようとする者は…その旨を届け出なければならない」(戸籍法76条)とされており、どちらが届出をしても良い。届出義務については設問の趣旨が不明確だが、協議離婚は届出時に離婚の意思を有することが必要と解されているため、翻意したのであれば届出をする必要はない。

事務職員能力認定試験 第12回解説(問23~30)

23

戸籍の届出には、以下の2種類がある。

①創設的届出
その届出により一定の身分関係や法律効果を発生させる届出
②報告的届出
既に生じている身分関係や法律効果について、戸籍に反映するために行う届出

法律上の婚姻は、戸籍法上の届出によってその効力を生じる(民法739条1項)。

出生・死亡は、その事実のみで親子関係や相続といった身分関係・法律効果を生じ、届出は戸籍に反映する行為に過ぎない。

調停や判決(裁判)による離婚も、調停の成立や判決の確定により離婚の効力が生じるため、届出は報告的届出となる。ただし、協議離婚は離婚届の提出によりその効力を生じる(民法764条、739条1項)ため、創設的届出となるので注意。

24

①「裁判手続又は裁判外手続における民事上若しくは行政上の紛争処理手続についての代理業務である場合」と②「刑事弁護人等として請求する場合」は、依頼者の氏名を記載する必要がなく、代わりに代理する手続及び利用目的を明らかにする必要がある(戸籍法10条の2第4項、第5項)。
ア、イ、ウはいずれも①の業務に該当するため、依頼者の氏名は記載不要。

他方、依頼された業務が紛争処理に関わらない場合は、依頼者の氏名を記載しなければならない。具体例としては、相続登記の申請や公正証書遺言の作成等である。

25

  1. 戸籍法13条7号
  2. 同上(婚姻前の戸籍の筆頭者と同じ氏)
  3. 以前の婚姻の有無も記載事項ではある(戸籍法施行規則35条4号)。しかし、除籍された者に関する事項は、転籍する際に移記する必要のない事項に含まれている(同規則37条3号、4号)。したがって、離婚後に転籍している場合は、以前の婚姻の有無は現在戸籍には記載されない。
  4. 戸籍法13条2号

26

  1. 正)権利部は、甲区と乙区に区分され、甲区には所有権に関する登記、乙区にはそれ以外の権利に関する登記が記載される(不動産登記規則4条4項)。したがって、権利に関する登記はすべて権利部に記載されることになる。
  2. 正)同上。
  3. 正)仮登記は、いずれ本登記する前提で順位を確保しておくためのもので、本登記すべき場所に記載される。所有権移転登記は甲区に記載されるので、その仮登記も甲区に記載される。
  4. 誤)登記名義人の氏名・住所の変更の登記は付記登記によってなされ(不動産登記規則3条1号)、関連する登記の直後に記載される。登記名義人(=所有権者)は甲区に記載されるので、その住所変更登記も甲区に記載される。

27

  1. 誤)登記識別情報または登記済証(登記識別情報制度の前に発行されていた書類)を添付する必要がある点は正しいが、それが添付できない場合は、①事前通知制度(不動産登記法23条1項)、②司法書士等による本人確認情報(同条4項1項)、③公証人による認証(同条4項2号)のいずれかによって本人確認をする。何かを添付するとすれば、②の本人確認情報になる。
  2. 正)登記識別情報等の添付が必要なのは、登記権利者登記義務者の共同申請が必要な場合(不動産登記法22条)。相続登記は相続人単独で申請できる(不動産登記法63条2項)ので、登記識別情報は不要となる。
  3. 正)申請人は、申請書面に押印して印鑑証明書を添付しなければならない(不動産登記令16条1項、2項)。共同申請なので登記義務者の印鑑証明書も必要。
  4. 正)不動産施行令別表30項添付情報ロ。

28

  1. 誤)原則は2年だが、定款や設置機関により様々な場合がある(会社法332条)。
  2. 正)利益の分配方法や機関設計、役員の任期などの定めについて、株式会社のような制限がなく、設立手続も株式会社より簡素で安い。
  3. 誤)特例有限会社は、平成18年の会社法改正により、株式会社として扱われることとなった(会社法の思考に伴う関係法律の整備等に関する法律2条1項)。したがって、名称以外は基本的に株式会社と変わらない。
  4. 誤)外国の法令により設立された会社である点は正しい(会社法2条2号)。しかし、登記は必要(会社法933条1項)。

29

  1. 正)代表取締役は何名いても各自が単独で会社を代表するため、誰か1人を記載すれば足りる。
  2. 正)取締役は清算人となり(会社法478条1項1号)、この場合代表取締役だった者は代表清算人となる(同法483条4項)。
  3. 正)代表執行役には代表取締役に関する定めが準用され、「株式会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の好意をする権限を有する」(会社法420条3項、同法349条4項、5項)。したがって、代表執行役を代表者として記載する。なお、執行役を設置する指名委員会等設置会社では、そもそも代表取締役は存在しない。
  4. 誤)支配人は、訴訟代理権も有している(会社法11条1項)が、代表者ではない。本人である会社に選任された任意代理人の立場に当たる。

30

  1. 代理人が供託する場合は、「代理人の権限を証する書面を提示しなければならない」(供託規則14条4項)。通常は委任状。
  2. 供託規則13条2項1号。法人の場合は、「その名称、主たる事務所及び代表者…の氏名」を記載する。
  3. 代理人については、その氏名及び住所を記載すれば足りる(供託規則13条2項2号)。
  4. 供託物として当然に必要となる。

事務職員能力認定試験 第12回解説(問11~22)

11

民事保全の手続は、勝訴した場合に備えて相手の財産や自分の地位を確保しておくための手続。大きく分けて以下の3種類(民事保全法1条)。

①仮差押え
金銭の支払いを求める場合に、執行の対象となる財産の処分を制限する手続。差押えの対象によって、不動産仮差押え、動産仮差押え、債権その他の財産の仮差押えがある。
②係争物に関する仮処分
引渡しや登記などを求める場合に、その物自体の現状維持を図る手続。占有移転禁止の仮処分、処分禁止の仮処分(処分禁止の登記など)がある。
③仮の地位を定める仮処分
一定の地位争っている場合に、判決が出るまで仮にその地位を認めさせる手続。解雇無効を争っている場合の雇用契約上の地位など。

上記のとおり、1は②、3は①の一種。4は③の一種で、解雇無効訴訟での賃金仮払いの仮処分などが例。

2は文字通り証拠を保全するための手続、すなわち訴訟に備えて行う手続きであり、判決後に備えて行うものではない。

12

  1. 民事保全規則13条1項。代理人がいる場合はその住所・氏名も記載する。
  2. 同条1項2号、2項。「申立ての趣旨及び理由」が記載事項であるところ、申立の理由の内容として、被保全権利と保全の必要性を具体的に記載しなければならない。
  3. 同上。
  4. 担保の提供方法は、申立書の記載事項としては定められていない。担保の提供方法は、金銭又は有価証券を供託する方法(民事保全法4条1項)と、裁判所の許可を得て金融機関と支払保証委託契約を締結する方法(民事保全法4条1項、民事保全規則2条)に限られる。確実な方法が法定されているため、保全の可否判断ではどの方法によるかを考慮する必要がない。

13

  1. 正)執行方法が登記の場合は、裁判所書記官が嘱託して行う(民事保全法47条3項、53条3項等)。書記官による登記所への嘱託が必要的な場合もある(56条)。
  2. 誤)保全執行は、「申立てにより、裁判所又は執行官が行う」(民事保全法2条2項)ため、執行官はもちろん、裁判所であっても原則として職権では行えない。民事保全法が送達を職権で行えるとする民事訴訟法98条1項を準用している(民事保全法7条)ため、送達のみで執行する債権仮差押え(同法50条1項)については裁判所の職権で行えると言えるが、この場合執行官は保全機関になっていないので、いずれにしろ執行官が職権で執行を行うことはない。
  3. 正)保全執行は、上記のとおり申立てにより行い、かつ保全命令の正本に基づいて実施する(同法43条1項)。したがって、「ものもある」というよりこれが原則。
  4. 正)第三債務者への債権仮差押えなどは、第三債務者に対し弁済禁止命令を発する方法により行うとされる(民事保全法50条1項)が、具体的には、仮差押命令の決定正本を送達することになる。

14

  1. 正)供託規則13条2項1号、2号。設問では供託者=債権者なので、供託者として債権者の情報を記載する。
  2. 正)供託規則13条2項6号。代表者の記載は要求されていない。
  3. 誤)「民事保全法第14条1項」が正しい。4条1項は、供託を含む担保提供の方法について定めた条項であり、担保を立てること自体の根拠条文ではない。
  4. 正)裁判所の記載につき供託規則13条2項10号。債権者と債務者は、供託者欄・被供託者欄で特定できるので、それぞれ供託者と被供託者と記載すればよい。

15

担保の取消しは、以下の場合にすることができる(民事保全法4条2項、民事訴訟法79条1~3項)。

  • ①担保事由が消滅した場合:勝訴判決の確定、請求認諾、勝訴的和解の成立等
  • ②担保権利者が同意した場合
  • ③訴訟完結後に催告しても担保権利者が権利行使しない場合(保全の場合は保全命令の取下げも必要)

「担保金を返してしまっても、担保権利者から損害賠償請求を受けるおそれがない場合」と考えると分かりやすい。

  1. 誤)仮執行宣言により執行が完了していても、控訴審係属中で確定していないため、①に該当しない。もしも控訴審で被告が逆転勝訴すると、強制執行された財産は被告に返さなければならず、これを保証するための担保金であるから、原告に返すわけにはいかない。
  2. 正)請求を一部放棄しているため、和解がただちに①に該当するとは言えない。しかし、被告から同意を得ているため②に該当する。
  3. 正)訴えの取下げにより訴訟が終了した場合、訴えは初めからなかったことになる(民事訴訟法262条1項)。本案訴訟が存在しなくなったので①に該当する。
  4. 正)原告の勝訴判決が確定しているが、2割の一部敗訴でもあるので、ただちに①に該当するとは言えない。ただし、勝訴した8割部分と仮差押を執行した財産の額等から、被告に損害が生じないと言える場合には、①に該当するものと考えられる。したがって、(ケースバイケースだが)執行取消ができないとまではいえない。

16

  1. 正)「保全命令の申立てを取り下げるには、保全異議又は保全取消の申立てがあった後においても、債務者の同意を得ることを要しない」(民事保全法17条)。
  2. 正)債権仮差押えの執行は、第三債務者に弁済を禁止する命令を発することによって行われ(民事保全法50条1項)、取下げを告知しない限り債務者は第三債務者からの弁済を受けられない。したがって、そのための郵券を提出することが通常。
  3. 正)不動産仮差押えの執行は、仮差押えの登記をするか、強制管理によって行う(民事保全法47条1項)。仮差押登記の抹消は債権者が単独で行えるが、登記手続き自体は通常と同じであるため、目録や登録免許税も必要となる。
  4. 誤)占有移転禁止の仮処分の保全執行は、執行官に対して申し立てる。したがって、執行官に対しても保全執行の取下書を提出する必要がある。

17

  1. 正)担保権実行による不動産競売は、「担保権の登記に関する登記事項証明書」があれば足りる(民事執行法181条1項3号)。
  2. 正)「強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する」(民事執行法25条)。また、あらかじめ債務名義が送達されたときに限り開始できる(同法29条)。「執行力ある」とは、執行文が付されていること。ただし、執行文が不要な場合として、仮執行宣言付の支払督促・少額訴訟判決などがある(同法25条但書)。
  3. 正)「申立人」「相手方」と表示する。
  4. 誤)事前の財産開示手続が必要なのは、不動産情報と勤務先情報を取得したい場合のみ(民事執行法205条2項、206条2項)。預貯金や株式の情報を取得する場合には不要。このように区別しているのは、債務者のプライバシーを保護する必要がある一方で、預貯金などの財産隠しが容易な財産は、事前に知られずに情報を取得する必要があるため。

18

  1. 民事執行法22条4号。
  2. 建物収去命令は、代替執行を行うために必要なものであり、債務名義ではない。確定判決等の債務名義が別にあり、それに基づく強制執行のために建物収去命令を得る、という関係。
  3. 民事執行法22条2号。
  4. 家事事件手続法268条1項、民事執行法22条7号。

19

債権執行についての管轄は、以下のとおり(民事執行法144条1項)。

  • ①債務者の普通裁判籍の所在地(債務者の住所)を管轄する地方裁判所
  • ②債務者の普通裁判籍がない場合は、差押え対象債権の所在地を管轄する地方裁判所

本問では、債務者の転居先が判明しているので、①により債務者の転居先住所を管轄する地方裁判所が管轄する。

この場合、債務名義に表示された住所と現在の住所が異なるため、同一性を明らかにするため、住民票などを添付する必要がある。

20

債権の差押えは、生計を維持するために必要と解される範囲については差押禁止債権として保護される。主に雇用契約上の給与債権(民事執行法152条1項2号)。

  • ア)役員であっても、雇用契約上の給料であれば保護の対象となる。
  • イ)役員報酬は、雇用契約ではなく委任契約に基づくものであり、給与債権とは性質を異にするため、保護されない。
  • ウ)私的年金は、「国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付」(民事執行法152条1項1号)に当たるので、保護の対象となる。公的年金は、個別の法律によりその全額が保護されている(国民年金法24条等)
  • エ)議員の歳費請求権も、特に法律で定められたものであり、雇用契約上の給料とは性質を異にするため、保護されない。

21

  1. 「不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者に占有を取得させる方法により行う」(民事執行法168条1項)
  2. 間接強制は、債務を履行しない債務者に対し、一定の金銭を支払うよう命じて心理的な強制を加えて、債務者自身に債務を履行させる方法。裁判所が金銭支払いを命じるだけなので、執行官は関与しない。
  3. 対象不動産の現況調査(民事執行法57条2項、3項)や内覧の実施(同法64条の2第3項)、入札手続(民事執行施行規則47条、49条、42条)等については執行官の権限。
  4. 「動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う」(民事執行法123条1項)

基本的に、物理的に財産を確保する手続には執行官が関与する。

子の引き渡しは直接強制も可能であり、その場合は執行官が関与するので、ひっかけに注意。

22

3点セットとは、以下の3つの資料が1冊になっているファイル。

①現況調査報告書
土地の地目、建物の種類・構造、占有者の氏名・権原、不動産の写真等を添付した報告書。
執行官が現地調査して作成する(民事執行法57条2項、3項、同施行規則29条)。
②評価書
競売物件の周辺環境や評価額、図面等を添付した評価書。
不動産評価人が作成する(民事執行法58条2項、同施行規則30条)。
③物件明細書
競売後も引き継ぐべき権利関係、法定地上権の成否等を記載した明細書。
裁判所書記官が作成する(民事執行法62条)。