日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

事務職員能力認定試験 第11回解説(問57~60)

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  1. 正)民事では,原則として「判決の言渡しは、判決書の原本に基づいてする」(民訴252条)。刑事では特にそのような規定はない。
  2. 正)民事では,判決正本を当事者に送達する(民訴255条1項,2項)。刑事では特にそのような規定はない。
  3. 誤)民事の判決は,当事者不出頭でも可(民訴251条2項)。刑事裁判でも,50万円以下の罰金又は科料に当たる事件については出頭不要(刑訴284条)。
  4. 正)問題が悪い。確かに,民事は送達日,刑事は言い渡し日が控訴期間の基準日となる(民事訴訟法第285条,刑事訴訟法358条)。ただ,どちらも初日不算入なので,「起算」は各翌日からと表現することが多く,素直に読めばこの肢も誤り。

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  1. 誤)少年事件は,まずは全て家庭裁判所に送致する(全件送致主義,少41条)。一定の重罪については,その後家庭裁判所から検察官に送致されることもある(逆送,少20条)。
  2. 正)少年の保護者は,裁判所の許可を受けて付添人になることができる(少10条2項)。
  3. 正)犯罪行為をしていなくても,そのおそれのある少年(虞犯少年)は少年審判の対象となり(少3条1項3号),捜査機関は,犯罪の嫌疑がなくても審判事由があれば家庭裁判所に送致する(少41条)。
  4. 正)付添人はすぐに閲覧可能(少規7条2項)。ただし謄写には裁判所の許可が必要(同条1項)。
  • 法律記録:非行事実の認定のための記録。普通の捜査関係資料。
  • 社会記録:少年の性格や生育環境を調べた記録。調査官や鑑別所の調査・意見資料。

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  1. 正)弁護士法26条,職務基本規程53条。
  2. 正)職務基本規程9条2項。
  3. 誤)非弁提携とは,非弁護士との提携のこと。その禁止は,提携した弁護士に対する規制。弁護士法27条,職務基本規程11条。
  4. 正)職務基本規程49条2項。

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  1. ×)業務遂行に必要な場合に限り使用し,業務外の用途に使用してはならない(請求用紙の使用管理規則3条)。他の目的で使用するのは,業務外の用途での使用となる。
  2. ×)請求用紙は弁護士ごとに交付され,交付された弁護士以外は誰も使えない(日弁連Q&A1-6)。請求用紙はサッシごとに識別番号が振られており,いつ誰が買った用紙か把握されている。
  3. ×)たとえ依頼者であっても,正当な理由がない限り取得した戸籍・住民票等を交付してはいけない(日弁連Q&A6-7)。書類返却時,事務所で取得した戸籍等は「渡さなくて良い」ではなく,「渡してはいけない」書類。
  4. 〇)まさに業務遂行のために必要な場合。