日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

連絡手段の使い分け

弁護士業務は、定型作業として、各所に多くの連絡をしていきます。依頼者、裁判所、検察庁、相手方代理人、保険会社などなど。

そこで、基本的な連絡手段と特徴をまとめてみました。

電話

当然ですが、非常によく使います。

即時性が高い一方で、録音していない限り証拠に残りません*1

厳密に証拠を残す必要のないやり取りに使います。特別緊急性がなくとも、「電話の方が早い」「確実に回答が欲しい」ときは電話を使います。電話連絡ができないと仕事になりません。

FAX

書面や資料を送付する場合、原本の必要性がないならFAXを使います。送受信の記録が機械の方に残るので、一応の証拠も残ります。

法曹界はFAX文化が完全に定着していて、なくなる気配が全くありません。裁判所や検察庁、弁護士同士のやり取りは、FAXが基本です。ただし、送信枚数が大量になる場合は、相手に迷惑なので使いません(その場合は郵送)。

電子メールでの代替は、技術的には可能なのでしょうが、おそらく裁判所が対応しない限り弁護士も対応しません。そして裁判所は、セキュリティや保存性の問題があることから、対応しないでしょう。

郵送

原本を送る必要がある場合、確実に記録を残したい場合などに使います。

郵送の種類については、郵便の種類というエントリにまとめています。

FAXを持っていない依頼者への報告書なども、普通郵便で送ります。

電子メール

記録も残るし安くて簡単。だけど相手が限られる連絡手段です。

正直、私の場合は、通常業務ではあまり使いません。弁護士会の関係や、弁護士同士の業務連絡に使うことが多く、たまに依頼者との連絡でも使うという程度です。

これは地域・分野の差があるかもしれませんが、少なくとも地方では、電子メールを利用したがる依頼者は少なく、あまり使う機会がありません。また、相談や打合せの日程調整などでは、圧倒的に電話の方が早くて楽(電話なら1回で済むが、電子メールだと数回のやり取りが必要)なので、全てを電子メールに切り替えるというのは、それはそれで不便です。

*1:ただし、通話内容をメモや報告書として残すことも多々あります。十分とは言えませんが、証拠化という意味では重要です。