刑事弁護は私選と国選どっちがいいか?
当番弁護*1で接見に行くと、たまに聞かれます。
「金はあるから、私選であんたにお願いしても良いんだけど、国選とどっちがいいと思う?」
答えは人それぞれだと思いますが、私の場合は、大抵こう答えています。
「私選だから一生懸命やって、国選だから適当にやるということはないと思います。少なくとも私は、私選だろうが国選だろうが同じようにやりますよ。特に信頼している弁護士がいるんじゃなければ、金のかからない国選でいいんじゃないですかね。」
他の弁護士が本当に私選と国選とで区別していないかは知りませんが、私が区別しない(する気がない)というのは本心です。むしろ、私選と国選で態度が変わるのは依頼者の方で、私選だと「金払ってるんだから」と、注文や文句をたくさんつけてきます。
そんなわけで、タイトルの答えは、「どっちでも大して変わらないから、何十万円もかかる私選より国選の方がいい場合が多い」です。
金をかけても私選を利用した方がいいのは、特に頼みたい弁護士がいる場合と、被疑者国選非対象事件*2で被疑者段階から弁護が必要な場合くらいだと思います。
『若手弁護士のための初動対応の実務』
若手弁護士のための 初動対応の実務 Initial Response of Practice for Young Lawyer
- 作者: 長?佑志
- 出版社/メーカー: レクシスネクシス・ジャパン
- 発売日: 2016/04/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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一般民事で案件の多い、交通事故、離婚、相続、債務整理、労働の各分野について、相談や受任後の初動対応を解説している一冊。
非常に平易で分かりやすいのですが、正直言うと、「とりあえずやってみたら分かること」、下手をすれば「言われなくても分かること」を、平易な言葉で文字にしただけという印象の本です。
若手というよりは、弁護士になって1か月も経たないド新人弁護士向けと言った方が正確だと思います。少なくとも、どう対応すればいいか迷った時に、この本を読めば解決する……という類のものでは全くありません。そういったものを期待している方は、買わない方が良いでしょう。
むしろ、司法修習生におすすめしたい本です。二回試験後、弁護士として働き始めるまでの間にサッと読んでしまって、心の準備をするというのに最適です。
大体いつもノーネクタイ
最近はクールビズが浸透し、夏は半袖ワイシャツ(もちろんノータイ)が普通になってきましたが、私は、ジャケットを着る季節でも、割とノーネクタイです。ネクタイは、寒い日のマフラー代わりみたいになっています。
客層や考え方の違いで様々だとは思いますが、今時は、ノーネクタイでも全く問題ないという風潮がある気がします。初めのうちは、私も「さすがに法廷ではネクタイを締めよう」と思っていましたが、もはやそんな考えもほとんど消えました。
常時ノーネクタイが普通に受け入れられているところも、私が「弁護士って楽で良いなぁ」と思う部分です。
革靴
弁護士に限らず、革靴は様々な職業の人にとって仕事道具の一つでしょう。しかし、それらにどこまでこだわるか?ということになると、十人十色です。
私の場合、「あまりこだわらないけど、さすがに合皮はちょっと…」という感じです。大手企業の顧問や金持ちの顧客が多い事務所なんかだと、ハッタリをきかせるために身なりにも相当気を使う必要があるかもしれませんが、田舎のマチベンとなると、その辺はあまり気になりません。身なりで弁護士の能力を見抜こうなんて人は、まずいないので。
そういうわけで、私は、ケンフォードというリーガルの廉価ブランドの靴を履いています。
1万円前後と安く、ゴム底ながら本体部分は割としっかりした本革なので、コスパが良いと言われているようです。最初に買った時は、そういった情報は全く知らず、店頭で色々試着した結果、価格と形状と履きやすさで選びました。ゴム底というのもむしろメリットが多いので、私は気になりません。安い&就職後も使えるということで、司法修習生にもおすすめのブランドです。
もちろん、値段の高い革靴はその分品質も良い(場合が多い)わけで、コストパフォーマンスだけで決まる話でもありません。いずれにしろ、革製品である以上それなりの手入れも必要不可欠です。値段よりも、買ってからきちんと手入れできているかどうかの方が、他人からの評価的にも最終的なコスパ的にも重要かもしれません。
ちなみに、こだわりがあるにしろ無いにしろ、「知っていてそうしている」のか「知らずにそうしているのか」の違いは大事だと思います。なので、自分が履かないにしても、一応最低限の知識は持っておいた方が良いでしょう。スーツや革靴については、ネットでたくさんの情報が提供されているので、ちょっと検索すれば簡単に知識が得られます。
- 作者: iko
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/09/11
- メディア: コミック
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時間どおりがありがたい
複数弁護士がいる事務所なんかでは、別々の法律相談が近い時間帯に行われることもあります。そうなると、来所するのが少し早すぎたり遅すぎたりした場合に、他の相談者とニアミスしてしまうこともあります。
もちろん、相談者同士が顔を合わせる事のないように様々な配慮がされますが、できるだけそういった事態は避けたいものです。相談者の方には、是非時間ぴったりに来所していただけるとありがたい。
…と、予約の時間より1時間も早く来てくれた相談者を見て、思った次第です。
盆休み
世間はお盆休みですが、残念ながら、私は暦どおりに働いています。イソ弁として夏季休暇ももらっているのですが、私は敢えて世間とずらして取得しています。
どうしてそんな休みのとり方をしているかというと、第1に、日本中が休みの時に休むより、日本中が働いている時に休んだ方が気分が良いからです。どこか出かけるにしても、平日ど真ん中の方が空いていますし。
第2に、お盆休みの方が依頼者と打ち合わせがしやすいからです。事務所の営業時間の都合上、依頼者と打ち合わせをしようと思うと、平日の日中に来てくださいと言わざるを得ません。しかし、それをするためには仕事を休まなければならない人が多く、そう簡単には来られません。ところがお盆休み中なら、平日でも仕事が休みになってたりして、事務所に来てもらいやすくなります。世間一般の休みとずらすことで、日程調整がしやすくなるのです。
その他、忙しい弁護士は、お盆を含む夏期休廷期間中は裁判期日が入らないため、ここぞとばかりに起案を消化していきます。
もちろん、世間と同じようにお盆休みを取る弁護士もたくさんいると思います。お盆休みの取り方一つ見ても、それぞれのスタイルが表れてくる、それが士業の面白いところかもしれません。
司法修習生に名刺は必要なのか
司法修習に入る前、多くの合格者は、名刺を作ります。ネットで調べるとみんな作ってるみたいだし、修習生対象の名刺業者もあったりして、作るのが当たり前、みたいな感じでした。
しかし、本当に修習生が名刺なんて持つ必要があるのでしょうか。
不要論
正直言えば、修習生に名刺なんて要らないと思います。理由は2つです。
理由1:使う場面がない
司法修習生が名刺を渡す場合として考えられるのは、ほぼ2つだけです。
- 修習生同士で交換
- 就活先の弁護士と交換
1つ目のパターンは、あるにはあるんですが、ほとんど大学の同級生みたいな関係性の相手なので、名刺である必然性は皆無です。今時は連絡先の交換もLINEが中心なので、名刺をもらっても役に立ちません。
2つ目のパターンは、一番よくあるし、一見すごく必要そうです。が、正直就活先の弁護士は修習生の名刺なんか興味ゼロです。元々履歴書に詳しく書いてあるし、採用でも不採用でも二度と見返しません。修習生が名刺を持っていないからと言って、そんなことで不採用にするとか不利に評価することもありません(多分)。相手の名刺をもらっておくだけで問題ありません。
理由2:もらった側としてはゴミ同然
修習が1年で終わる以上、司法修習生としての名刺なんてのは、どんなに長くても1年間でゴミになります。その1年の間に、「あの修習生と連絡を取りたい…。そうだ、名刺をもらっていた!」なんて状況、まずありません。
検察官や裁判官は、名刺を持っていません。2~3年で転勤して所属が変わるため、名刺を配る意味が無いからです。身分の価値がより低く、所属期間がより短い修習生が配る名刺に、一体どれほどの価値があるでしょうか。
ゴミを配るためにわざわざ大量に名刺を刷るのは、資源の無駄です。
必要論
そうは言っても、ほとんどの修習生が名刺を作っているのだから、一応必要なのではないか…?という疑問ももっともです。
その答えは結局のところ、「格好をつけておきたい」ということに尽きると思います。
名刺と言えば交換!こちらからも渡さなければ!という思い込みがあると、一方的に名刺をもらうことに居心地の悪さを感じてしまいます。名刺を渡さないことで就活が不利になることはないと書きましたが、「不利にならないとは分かっていても、何となくやっておきたい」ということはあると思います。
名刺の「交換」という儀礼を形にしたい、というのであれば、修習生の名刺は、そのための飾りとして必要なのかもしれません。
結論
結論としては、「どっちでもいい」です。
あってもなくても困らないが、あれば何となく格好がつく、というだけの代物です。いずれにしろ、そんなにたくさん配ることはないので、業者には頼まず、パソコンで自作した方が費用的にもエコ的にも良いと思います。