日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

腕時計は日付と曜日が分かるものを

私が使っている腕時計は、シチズンアテッサAT6010-59Eという製品です。

腕時計というのは、値段はピンキリ、用途も実用からファッションまで色々で、非常に好みの分かれる商品です。なので、どんな時計が良いか、という問いの答えとしては「好きなものを」が正解なわけですが、敢えて「弁護士業務における実用性」という観点から述べると、日付と曜日が表示されるものを選ぶべきだと思います。表示方法は何でも良いのですが、個人的にはクロノグラフではなく視認性の良い小窓表示タイプが好きです。

なぜ日付と曜日が必要かというと、留置施設でよく使うからです。基本的に弁護士は期日を気にして活動する職業なので、日付は常に確認できた方が良いのですが、特に留置施設では、接見や差入れをする際に毎回、年月日・曜日・時間を書く必要があります。

「携帯で確認すればいい」という意見も当然あるでしょうし、それで良いと思う人は特に問題ないと思います。ただ、「左手首に視線を移す」のと「ポケットから携帯を出しボタンを押す」のとでは、意外と手間の差があると私は感じています。

あくまで個人的意見です。ご参考までに。

全角英数字の憂鬱

法律文書は、英数字でも全角で表記するのが割と一般的です。むしろ、全角表記が標準です。

私は元々、「英数字を全角で打つなんて気持ち悪くて無理」という人間でしたし、別に英数字を半角にしたからといって書類の形式上問題があるわけでもないので、半角にしようと思えばいつでもできます。しかし、実際に弁護士として働きだしてから、数字については全角で打ってしまうことが多くなってしまいました。理由は2つです。

全角の方が読みやすい

理由の1つ目。法曹界の紙文化に由来するところです。

法曹界は、圧倒的な紙文化です。依頼者や弁護士とのやり取りならともかく、裁判所や検察庁とのやり取りは、基本的に紙でしかできません。一見不合理にも見えますが、セキュリティの問題に加え、長期間確実に保存しなければならないという特性上、紙での保存はむしろ合理的なのです。そのため、今後も紙文化は変わらないと思われます。

このように、データでなく印字されたものを扱うことが原則になるため、少し大きくなる全角数字の方が、視認性が高いのです。

雛形の修正が面倒

理由の2つ目。私が勤務弁護士(いわゆるイソ弁)であることから生じる問題です。

私が書面を起案するとき、ほとんどの場合、事務所で管理されている文書の雛形や、過去の書面データを流用します。しかし、それらのデータで使用されている数字はほぼ全角数字となっているので、それを修正するのが面倒になってくるのです。自分の好みで勝手に雛形を修正するわけにもいかないので、次第に全角数字のまま使うようになってきました。

半角にする必要性は?

本気で半角に統一しようと思えばいつでもできるのですが、ここまで考えてくると、逆に「半角英数字にするメリットって何?」となってきます。スクリプトやエクセルのデータなど、数字と数値の区別が必要な場合ならともかく、最終的に印刷物としてしか利用しない法律文書においては、全角だろうが半角だろうが「見た目」以上の違いはありません。

つまり、英数字を半角にするメリットは特にないということになります。個人的には、全角英数字がまかり通っている最大の理由はここにあると思っています。

法律文書に限っては、全角英数字を使うこと自体は有益だったりするのです。