日々起案

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事務職員能力認定試験 第11回解説(問49~52)

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  1. 誤)居住地を離れるには,裁判所の許可が必要(破37条1項)。管財人の許可ではない。住民票の移動にまで許可が必要かどうかは不明。
  2. 正)裁判所が必要と認めるときは,郵便物が転送される(破81条1項)。実務上,管財事件では原則として転送される。
  3. 正)各職業を規制する法律に資格制限の規定がある(例:弁護士法6条)。
  4. 正)破産手続開始決定は,直ちに官報に掲載される(破32条1項,10条1項)。官報は誰でも買える。

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  • 財団債権:破産手続によらずに破産財団から随時弁済を受けられる債権(破2条7項)
  • 破産債権:破産開始前の債権で,財団債権に該当しないもの(破2条5項)
  • 破産債権の種類(上から優先,破194条)
    1. ①優先的破産債権:一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権(破98条1項)
    2. ②一般破産債権:①③④以外の破産債権
    3. ③劣後的破産債権:破産開始後の利息・損害金,費用等,派生的なもの(破99条1項,97条)
    4. ④約定劣後破産債権:当事者が事前に配当順位を劣後させる合意をした債権(破99条2項)
  1. 正)破産債権は破産手続に従い配当を受ける方法でしか弁済を受けられない。随時弁済を受けられる財団債権はこれに先立つことができる。
  2. 正)破194条1項。
  3. 誤)破産開始前3か月の給料請求権は財団債権(破149条1項)。退職金も給料3か月分を限度に財団債権になる(同条2項)。
  4. 正)上記のとおり。

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  • 最後配当:管財人による調査・換価後にする基本の配当(破195条1項)。
  • 簡易配当:除籍期間の短縮,配当額個別通知の省略など,最後配当より簡略化された配当(破204条1項)。①配当額1000万円未満の場合,②開始時に告知して債権者から異議がない場合,③その他相当と認められる場合にできる。中間配当をした場合はできない(破206条)。
  • 同意配当:簡易配当よりもっと簡略化され,書記官の許可ですぐに実行できる配当(破208条)。債権者全員が当表、配当額,配当の時期・方法に同意した場合にできる。
  • 中間配当:管財人による調査後・換価前にする配当(破209条1項)。
  • 追加配当:配当が終わった後に財産が確認できた場合にする配当(破215条1項)。終結決定後にもありうる。

※最後・簡易・同意配当は書記官が許可する。中間・追加配当は裁判所が許可する。

  1. 正)上記のとおり。最後・簡易・同意はバリエーション。中間・追加はオプション。
  2. 正)設問のとおり。除斥期間とは,その期間の経過で当然に権利を失う期間。時効等と違って期間経過以外の事情は考慮されない。
  3. 正)上記のとおり。ただし配当額要件しかないわけではないので微妙。
  4. 誤)前半は正しいが,管財人の権限で行うとする点が誤り。書記官の許可が必要。

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  1. 正)弁済期間は原則3年,特別事情があれば最長5年(再生229条2項2号)。事後やむを得ない事情があれば最長2年延長可(再生234条1項)。
  2. 誤)最低弁済額が最低弁済基準額を下回る場合は再生計画不認可となる(再生231条2項3号,4号)。清算価値とは,破産した場合に見込まれる配当額であり,債務者が弁済可能な最大額とほぼ同意なので,これが最低弁済基準額より低いということは再生が認められないということになる。
  3. 正)免責ではないので免責不許可事由もない。ただし,再生計画不認可事由はある(再生174条2項各号,241条2項各号)。
  4. 正)給与所得者等再生の要件は,①給与に類する定期収入があり,②収入額の変動幅が小さいこと(再生239条1項)。賃料収入があっても別に給与収入がある,又は賃料収入自体が確実に安定・継続するものであれば,要件に該当する。