日々起案

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事務職員能力認定試験 第11回解説(問45~48)

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  1. 正)民853条1項。
  2. 正)後見は,正常な判断が困難な者の法律行為について代理・取消等を行い,本人を保護する制度。事実行為は事務に含まれない。
  3. 正)委任規定の準用(民869条,644条)により善管注意義務を負う。
  4. 誤)成年後見人は,常に成年被後見人宛ての郵便物を開披してみることができる(民860条の3第1項)。後見事務と関係なければすぐに本人に渡す(同条2項)。

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  1. 正)債務整理の受任通知(介入通知)を受けると,取立が禁止される(貸金業法21条1項,債権管理回収業に関する特別措置法18条8項)。ただし貸金業者・債権回収業者だけなので,その他の債権者は取立が可能。
  2. 正)そのため,個人債務者が破産開始申立てをすると,自動的に免責許可申立てをしたものとみなされる(破産248条4項)。
  3. 誤)いわゆる個人再生は,①小規模個人再生と②給与所得者等再生の2つだが,いずれも個人債務者が対象。個人再生手続の内容は正しい。
  4. 正)設問のとおり。

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  1. 正)取締役会設置会社であれば,破産という重要事項については取締役会決議が必要(会362条4項)。取締役会を設置していない場合は,取締役の過半数で決議する。ただし,個々の取締役にも破産申立の権限がある(破19条1項2号)。
  2. 誤)破産の申立ては,債権者からもできる(破18条1項)。
  3. 誤)免責不許可事由がある場合も,裁判所が相当と認めるときは免責許可決定がなされる(裁量免責,破252条2項)。
  4. 誤)法人破産で同時廃止できないという条文はない。しかし,法人について同時廃止を認める運用はほぼない。設問も,「原則として」ではなく「可能性がある」なら正しい。

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  1. 正)特別の先取特権,質権,抵当権は別除権といい(破2条9号),破産手続によらずその権利を行使できる(破65条1項)。そのため,破産開始決定後も担保権を実行できる。
  2. 誤)破産手続開始により,既に開始している強制執行保全処分は,効力を失う(破42条2項)。ただし,税金の滞納処分については,既にされているものに限り進行する(破43条2項)。
  3. 正)破産手続開始により,その後の強制執行保全処分はできなくなる。(破42条2項)。
  4. 正)他の手続の失効は,遡及しない。ただし,介入通知後の回収分は否認の対象となる可能性がある(破162条1項1号イ)。