日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

事務職員能力認定試験 第11回解説(問33~36)

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手続代理人の基本権限は以下のとおり(家手24条1項)。

  1. 参加
  2. 強制執行及び保全処分に関する行為
  3. 弁済の受領

以下の事項は,特別の委任が必要(同条2項)。

  1. 申立て・取下げ
  2. 調停成立・合意に相当する審判の合意,調停条項案の書面による受諾,調停に代わる審判に服する旨の共同の申出
  3. 審判に対する即時抗告・特別抗告・許可抗告の申立て,合意に相当する審判・調停に代わる審判に対する異議申立て
  4. 抗告・異議の取下げ
  5. (復)代理人の選任
  1. 正)上記のとおり。
  2. 正)設問のとおり。特に法律の根拠はない。
  3. 誤)取下げは特別委任事項。
  4. 正)裁判所から呼び出しを受けた関係人は,やむを得ない場合を除いて本人の出頭が必要(家手258条1項,51条2項)。

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記録の閲覧等(家手47条1項,家手254条1項)

  • 主体:①当事者,②利害関係を疎明した第三者
  • 請求内容:①記録の閲覧,②謄写,③正本,謄本,抄本,証明書の交付
  • 請求先:裁判所書記官
  • 要件:家庭裁判所の許可

許可基準

審判(家手47条)
  1. 当事者:原則許可(3項)→不許可なら即時抗告できる(8項)
  2. 利害関係者:相当と認めるときに許可(5項)

※当事者が正本等の交付を請求する場合は,許可不要(6項)

調停(家手254条)
  1. 当事者:相当と認めるときに許可(3項),ただし特殊調停事件は原則許可(6項)→不許可なら即時抗告できる
  2. 利害関係者:相当と認めるときに許可(3項)

※当事者が審判書・調停調書の正本等,証明書の交付を請求する場合は,許可不要(4項)

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離婚訴訟の管轄は,「当事者」の普通裁判籍(人訴4条1項)=原告又は被告の住所地。※調停は相手方住所地のみなので注意(家手245条1項)。

合意管轄,応訴管轄は認められていない。

特に必要があると認めるときは,申立て又は職権で,調停裁判所が審理できる(人訴6条)。

したがって,1も微妙ではあるが,2が明確に不可。

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  1. 正)強制執行できるのは,原則として期限到来後のみ(民執30条1項)。
  2. 正)婚費・養育費等の定期金債権については,将来分も差押えできる(民執151条の2第1項2,3号)
  3. 誤)給料を差し押さえる場合は,原則4分の1まで(民執152条1項2号)。婚費・養育費など扶養債権に類する債権の場合は2分の1まで可能(同条3項)だが,慰謝料はこれに含まれない。
  4. 正)慰謝料は4分の1まで。退職金や賞与も給与と同じに扱う(同条1項2号)。