日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

事務職員能力認定試験 第11回解説(問21~24)

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  • 配当を受ける債権者
    • ①差押債権者(民執89条1項1号)
    • ②配当要求・交付要求をした債権者(同項2号)
    • ③差押えの登記前に登記をした仮差押債権者(同項3号)
    • ④差押えの登記前に登記をした担保権者(同項4号)
  • 配当要求できる債権者(上記②)
    • ア)執行力のある債務名義の正本を有する債権者
    • イ)差押えの登記後に登記をした仮差押債権者
    • ウ)一般の先取特権を有することを証明した債権者
  1. 正)②ウ
  2. 正)②ア
  3. 誤)③→差押えの登記前なら自動的に配当対象。
  4. 正)【根拠確認未了】

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  1. 誤)原則1か月の引渡期間を定めて明渡しの催告をするまでは正しい(民執168条の2第1項,2項)。債務者不在でも,玄関などに催告書を貼られて催告が実行される。留守にしてれば回避できるなら強制執行の意味がない。
  2. 誤)現金も,標準世帯の2か月分の生活費(現在66万円)は差押禁止財産(民執131条3号)。
  3. 正)「債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り」執行できる(民執168条3項)。明渡しの執行は,債権者に占有を取得させる手続きであるため。
  4. 誤)土地と建物は別個の不動産であるため,土地の明渡しと建物の収去両方(建物収去土地明渡)の債務名義が必要。執行方法も,代替執行による。具体的には,裁判所の授権決定を得て,債権者が自分で建物を収去する。

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創設的届出
届出をして初めて身分関係が形成される
報告的届出
法的な身分関係は形成されており,戸籍の反映などのためにする

どこで効力が発生しているかの問題

  1. 婚姻は届出により効力を生じる(民739条1項)。
  2. 協議離婚は,婚姻の規定を準用(民764条,民739条1項)。
  3. 認知は届出により効力を生じる(民781条1項)。
  4. 裁判上の離婚は,判決の確定により離婚が成立する。なお,調停離婚は調停成立時。

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職務上請求は,職務遂行に必要な場合にのみすることができ,次の事項を記載する(戸籍法10条の2第3項)。

  • ①自己(依頼者)の権利行使・義務履行に必要な場合
    →権利義務の発生原因・内容・戸籍を確認する必要性(同条1項1号)
  • ②国・地方公共団体への提出に必要な場合
    →提出先・提出の必要性(同条1項2号)
  • ③その他戸籍を利用する正当な理由がある場合
    →戸籍利用の目的・方法・必要性(同条1項3号)
  1. 〇)①の場合。法定代理人である親権者探知のためには戸籍が必要。
  2. ×)戸籍を調べること自体が目的となる場合は使えない。利用の方法も不当。
  3. 〇)②の場合。判決文の記載と氏名が違うので,執行文の付与のための証拠資料として裁判所に提出する。
  4. 〇)③の場合。適切な相続処理を行うため,戸籍から相続人の範囲を確認することが必要。