日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

法曹三者の中から弁護士を選んだ理由

裁判官、検察官、弁護士をまとめて「法曹三者」と呼びます。

実を言うと、私も、修習前は検察官に任官すること(任検)を考えていました。しかし、修習中に各庁を回る中で、検察官より弁護士の方が向いていると思うようになりました。検察官の仕事自体は、とても面白いし、やりがいがあると感じたのですが、「組織」というものがどうにも性に合わない感じがしたのです。ちなみに、裁判官については、事件に直接的・主体的に関われないので最初から興味がありませんでした。

検察官は、何だかんだ言っても完全縦社会の組織構造であり、ある意味体育会系です。上司や同僚に恵まれれば良いのでしょうが、それが性格の合わない相手であれば、かなりのストレスになります。数年ごとに転勤があるので、良くも悪くも短期間で人間関係がリセットされますが、その度に「職場ガチャ」を強いられるわけです。

司法修習中は、各庁で色々な方と交流します。当然のことながら、どこであっても、相性の良い人と悪い人、親しみやすい人と癖の強い人がいます。私自身、「この人と付き合っていくのは嫌だな」と思う人にも出会いました。しかし、裁判所と検察庁では、そんな相手とであっても、うまく合わせ、仕事を円滑に進めることが求められます。私の場合、そうした人間関係のストレスに勝るほどの熱意はありませんでした。

もちろん、弁護士でも、就職先に嫌な相手がいることはあり得ます。しかし、弁護士であれば、さっさと事務所を移るなり独立するという選択肢があります。今は弁護士業界も売り手市場ですし、地方ならいくらでも仕事が入ってくるので、「嫌なら辞める」は当然の選択肢と言えます。実際、弁護士が最初の事務所を3年以内に辞めることは、特に珍しくありません。

要するに、弁護士には「選ぶ自由」があるのです。そこに惹かれました。

正直、修習前には、自分が「自由な生き方」にこれほど魅力を感じるとは思っていませんでした。自分の価値観に改めて気付かされた点で、司法修習はとても有意義だったと思います。