日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

祝日の意味と由来

次の天皇の即位日(2019年5月1日)が祝日になったら、祝日法国民の祝日に関する法律)の規定で前後の日も休日になる、超大型連休になるということで、ちょっとした話題になっています。

祝日法の規定は確かにそのとおりなわけですが、そもそも即位日って祝日になるものなのか?そういう先例はあるのか?という素朴な疑問が生じたので、日本の祝日についてまとめてみました。

祝日とは

祝日法によれば、以下のとおり(祝日法1条)。

国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

そして、祝日法3条1項で、

国民の祝日」は、休日とする。

と定めています。お祝いや記念の日は法律で定めて休日にします、というごく常識的な理解です。

各祝日の意味と由来

以下、祝日法2条に定める祝日の意味と、その由来をまとめます。祝日は、2017年現在で16日あります。

元日:1月1日

年のはじめを祝う。

由来も条文の定めそのままです。基本的に世界中どこでも祝う習慣があります。

成人の日:1月の第2月曜日

おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

ハッピーマンデー*1実施前は、1月15日でした。かつての成人の儀式であった元服が、1月15日(小正月)に行われていたことが由来。

建国記念の日政令で定める日(2月11日)

建国をしのび、国を愛する心を養う。

神武天皇の即位日が由来です。日本書紀で旧暦の1月1日とされており、それを新暦に換算した結果が2月11日です。

明治~戦前は「紀元節」と呼ばれていましたが、GHQにより一度廃止され、その後「建国記念の日」として復活しました。

この日だけ法律で定めず政令で定めているのは、日本神話を基にして「建国記念日」を定めること(紀元節の復活)に猛反対した政治グループがあったからです。結局は紀元節と同じ日になったわけですが、有識者会議を経てから政令で決めるとか、「の」を入れて意味をぼやけさせるなどの妥協を重ねた結果、ようやく制定に至ったようです。

春分の日春分日(3月20~21日頃)

自然をたたえ、生物をいつくしむ。

昼と夜の長さがほぼ同じになる日。春の到来を祝い、祖先に感謝を捧げる日として、古くから農村で祝いの日となっていたようです。

冬を乗り越え春を迎えることは、これから始まる生の喜びと、それをもたらした祖先たちへの感謝の念が感じられるという意味があったようです。

昭和の日:4月29日

激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。

昭和天皇の誕生日です。

昭和の間は「天皇誕生日」、平成からは「みどりの日」として祝日でしたが、2007年からは、「みどりの日」という名称を5月4日に移動し、4月29日は「昭和の日」になりました。

天皇誕生日」自体は、天皇が代替わりするたびに変更されるものですが、4月29日は大型連休を構成するため、祝日としてわざわざ残されました。

憲法記念日:5月3日

日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。

日本の現行憲法が施行された日です。ちなみに、憲法の「公布日」は、11月3日の「文化の日」です。

施行日と公布日のどちらを「憲法記念日」とするかには議論があったそうですが、衆議院で施行日派が多数を占めたため、施行日が「憲法記念日」になったようです。

みどりの日:5月4日

自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。

何の由来もありません。元々、「憲法記念日」と「こどもの日」に挟まれたことで中間日休日となっていた日です。昔は、カレンダー上は「国民の休日」とされていました。

4月29日が「みどりの日」→「昭和の日」となる際に、それまで単なる中間日として休日になっていた5月4日が、「みどりの日」という名称を当てられて純粋な祝日になりました。

こどもの日:5月5日

こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。

端午の節句が由来です。

古くから男の子の健やかな成長を願う人して祝われており、現在でも菖蒲湯やこいのぼり、五月人形などでお祝いする風習が強く残っています。

海の日:7月の第3月曜日

海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。

ハッピーマンデー実施前は、7月20日でした。

元々、7月20日は「海の記念日」という非祝日で、明治天皇が「明治丸」という灯台巡視船で横浜港に到着した日だそうです。

山の日:8月11日

山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。

何の由来もありません。単純に祝日(休日)を増やすという目的で制定が検討され、日航機が御巣鷹山に墜落した8月12日を避けつつのお盆前ということで、8月11日になったようです。

敬老の日:9月の第3月曜日

多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。

ハッピーマンデー実施前は、9月15日でした。

9月15日という日付自体には、特に由来はありません。「こどもの日」と「成人の日」があるなら「老人の日」も作ろう、ということで、9月15日を「としよりの日」とする運動が兵庫県の村から始まり、村→県→全国社会福祉協議会と広がり、ついには「敬老の日」として祝日になったようです。

元々の運動で9月15日を記念日としたのは、農閑期であったり、元正天皇が養老の滝を訪れたのが9月だったからなどの理由があるそうですが、特に特定の日付に意味があるというわけではないようです。

秋分の日:秋分日(9月22~23日頃)

祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。

昼と夜の長さがほぼ同じになる日。秋を迎え、その年の収穫を祝うと同時に、それを祖先の霊に捧げて感謝する日です。

農民にとって、春分の日が始まり、秋分の日は終わりを祝う日ということでしょう。

体育の日:10月の第2月曜日

スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。

ハッピーマンデー実施前は、10月10日でした。

10月10日は、1964年の東京オリンピック開会式の日です。

文化の日:11月3日

自由と平和を愛し、文化をすすめる。

日本の現行憲法が公布された日です。「憲法記念日」という名称が施行日(5月3日)に取られてしまったので、11月3日は「文化の日」として祝日化されました。

ちなみに、11月3日は元々、明治天皇の誕生日として「天長節」「明治節」という祝日でした。ただ、明治節を復活させる意図があったとか、憲法の公布を明治節に合わせたと考えられるような資料はないので、単なる偶然のようです。

勤労感謝の日:11月23日

勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。

神に収穫を祝う神道行事の「新嘗祭」が由来です。

旧暦で「11月の2回目の卯の日」と定められ、本来は毎年変動する日付でしたが、新暦で最初に当てはめた時にそれが11月23日だったので、以後11月23日固定となりました。しかも、旧暦から新暦への当てはめは、換算はせず、単純に旧暦上の月日の数字をそのまま新暦でも使ったので、本来の時期とは大きくズレています。

したがって、11月23日という日付自体には特に由来はないことになります。

天皇誕生日:12月23日(2020年からは2月23日)

天皇の誕生日を祝う。

読んで字のごとくですが、この「天皇」は今上天皇を意味するので、天皇が代替わりすると、祝日の日付も変わります。

2019年4月30に今上天皇が退位される予定なので、12月23日が祝日なのは2018年までとなります(今上天皇の退位に合わせて祝日化する可能性もありますが)。

次の天皇誕生日は2月23日になるので、残念ながら2019年は祝日になる「天皇誕生日」がなく、祝日が1日減ります。

結論

以上、現在ある祝日の由来を見てきました。

お分かりのとおり、「天皇即位の日」が祝日になっているのは、「建国記念の日」だけなので、普通に考えたら、5月1日が祝日になる必然性は全くありません。

大型連休を作るために敢えて祝日化する、ということも考えられなくはありません。しかし、あまり大きい連休はかえって経済活動を阻害する面もあると思うので、個人的には、それはないんじゃないかと思います。

正直、5月1日を祝日化するくらいなら、適当な名称で6月に祝日を作って欲しいところです。

追記:2018/10/13

結局、1年限りで、10連休にするための祝日化がなされるようです。

大型連休への期待と経済活動への配慮の折衷案という感じでしょう。

*1:連休が増えるように、一部の祝日を○月の第○月曜日などとした法改正