日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

修習生伝統の起案対策マニュアル

司法修習生の間では、過去問やその優秀答案、起案対策マニュアルなどが受け継がれてきています。毎年無秩序に累積しているので、数GBもの容量となっています。私も、そうしたデータは入手し、目を通しました。しかし、はっきり言ってこれらはあまり役に立ちません。

役に立たない理由としては、まず第一に、内容が古いということがあります。過去問のデータはともかく、マニュアル系のテキストは、あまり新しくありません。もちろん、現在でも通用する内容も多いのですが、検察起案などは検察講義案の大幅改訂などによりあまり通用しなくなっているようです。

そもそも、現在の白表紙は内容が非常に分かりやすくなっており、起案の「型」も講義ではっきり示してもらえるので、マニュアルの必要性からしてほぼありません。

また、過去問に関しても、前年度のものに目を通す程度のことはしたいところですが、それ以上は不要です。なぜなら、研修所の起案は、出題内容が変わることはあっても、基本的に毎回同じような形式でしか出題されないからです。

本来何時間もかけて起案する問題について、何題も目を通すことには、時間に見合った効果は期待できません。


起案で好成績を得るために必要なのは、マニュアルより何より、以下の3つです。

  1. 白表紙を読み込むこと(建前抜きで、必要なことは全部白表紙に書いてあります)
  2. 優秀答案を読んで「型」とメリハリの付け方を学ぶこと
  3. 資料の読み込み速度と起案の速度を上げ、書く量を確保すること

なお、たくさん書いても点数には比例しないとも言われますが、時間がなくて全然書けなくなるよりは、多少無駄が多くても書くべきことを書き切れた方が絶対に良いです。刑弁・刑裁あたりは、枚数制限があったりするので別の考慮が必要ですが、少なくとも民弁と検察については、枚数勝負なところがあるのは否定できません。

代々伝わる伝統の起案対策マニュアルは、あまり意味のない代物と言って過言ではないでしょう。