日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

ゴミのような弁論を書くつらさ

国選事件をしていると、どう考えても有罪なのに否認(無罪主張)してくる被告人がいます。客観証拠だけでも証明十分、弁解はそれ自体明らかに不合理、おまけに内容がコロコロ変わる、というような感じです。

当然ながら、弁解を裏付ける証拠など一つもなく、無罪主張なので情状弁護もできず、被告人質問も弁解の不合理な点を突かれてフォローしきれず。そういう被告人の無罪主張を弁論で書くとなると、その不合理で裏付け証拠もない弁解をそのままなぞるだけになってしまいます。はっきり言ってゴミのような弁論です。

弁護士としても、そういう弁論は書きたくありません。書きたくはないのですが、書かざるを得ません。それが結構つらい。

明らかに有罪なのであれば、初期段階でしっかり被告人から真実を引き出さなければなりません。明らかに有罪なのに無罪主張をさせるのは、被告人にとっても不利益なわけで、被告人が主張するからと言って無罪主張をそのまま受け入れるのは弁護活動としては良くありません。しかし、そうは言っても否認している被告人を自白させるのは難しいものです。「証拠見る限り間違いなく有罪になるよ」と言っても否認を維持してきたりします。重々承知の上で敢えて無罪主張をしている場合もあります。ある程度誘導・説得しても全く主張が変わらなければ、(時間の問題もあるので)弁解を信じて受け入れるしかなくなります。

ゴミ弁論を書いていると、そんなゴミが人に見られ、記録に残ってしまう恥ずかしさと、被告人をきちんと説得できなかった自分の未熟さが痛感され、かなりストレスが溜まります。

正直、無罪を勝ち取れる弁護士よりも、適切に自白を引き出せる弁護士の方が、すごいなぁと思えます。

ドライブレコーダーを購入

交通事故案件をやっていると、ドライブレコーダーがいかに大切かということがよく分かります。

私も、自動車は仕事でそこそこの距離を乗るので、万が一のときのため、ドライブレコーダーを購入しました。

Amazonで一番良く売れている商品を購入。バックミラーの裏に来るように設置したので、視界は設置前と何も変わりません。

事故が起きない限りドライブレコーダーが役に立つことはない…と思っていましたが、そうでもありませんでした。しっかり記録に残っていると思うと、信号が際どいタイミングで黄色になったときなど、以前より抑制的に運転するようになりました。また、一定の衝撃を受けると、それを検知して「イベント録画を開始しました」と言い出すので、そう言われないように、段差がある場所などでやんわりと運転するようになりました。

もしもの時のためのドライブレコーダー。任意保険と同じくらい必須です。

司法試験の勉強:民事訴訟法

民事訴訟法は、ひたすら判例百選の暗記でした。手続法は静的安全が命であり、それは試験でも実務でも同じです。

私は、時間のあるうちは、とにかく判例百選を読み込み、簡単なまとめを作って復習していました。出題範囲的にも、民訴で百選の外の論点が出てくるということは考えにくいので、それだけで基本的には必要十分といえるはずです。

以下、私が百選をまとめたメモです。見出しの番号は百選内の番号と一致し、文中で「A**」と書いてあるのは、巻末のAppendixの数字です。私が受験した時から、改版があったようなので、現在の百選とは数字が異なっていると思いますが、参考にはなると思います。

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司法試験の勉強:商法

商法と言っても、純粋な商法問題はほぼ出ないので、実質会社法

会社法は、論点が幅広い上、理論と判例の両方を踏まえつつ、事実の抽出・評価もしっかりする必要があるので、これといった対策ができない科目という印象があります。

なので私の場合は、コテコテの典型論点は箇条書きの形でまとめて暗記してしまい、「最低限の部分はきっちり拾う」というスタンスで勉強しました。一度まとめてしまえば復習は省力化できるので、余った時間は最新重要判例の勉強に費やしていました。

以下、私が復習用につくったまとめ箇条書きです。

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司法試験の勉強:刑事訴訟法

司法試験における刑事訴訟法は、「判例の規範→問題文の事実→当てはめ」の流れが全てと言っても過言ではありません。文中のどんな事実をどう評価すべきか、という点についても、元ネタの判例で拾われた事実さえ覚えていれば、簡単に判断できます。

そのため、刑事訴訟法の勉強においては、主要判例を覚えること、特に規範部分は一言一句暗記してしまうということが非常に重要です。下手に理屈から考えるのではなく、とにかく暗記してしまうべきです(まぁ、どうしても覚えられなければ、大抵は「必要性・緊急性・相当性」でゴリ押しも可能ですが)。

そこで、以下に覚えておくべき判例規範をまとめてみました。判例から引用すればそのまま規範になるものはそのまま引用し、そうでないものや整理が必要な部分などは、適当な箇条書きになっています。

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カタカナ語を避けるのは職業病?

弁護士になってから、文章を書く時にカタカナ語を避けるようになりました。

法律の条文は、カタカナ語は原則として使われません。物の名前にしろ概念の名前にしろ、あらゆる言葉はできる限り日本語で表現されます。そのため、法律文書も基本的にはカタカナ語は使わず、日本語で表現します。カタカナ語を使おうと思ったら、その意味をまず日本語で表現しなければなりません。

そういう状況にあるおかげで、私生活上で文章を書くようなときにも、自然とカタカナ語を使わないようになりました。

これが法曹関係者の職業病なのか、私個人の特殊な癖なのかは、よく分かりません。

リボ払いの恐怖

クレジットカードの支払い形式として、リボルビング払い(リボ払い)というものがあります。

リボ払いは、利用額のうち一定の金額のみを支払っていくというものです。たとえば、毎月10,000円と設定してあれば、前月の利用額合計が100,000円であっても、10,000円しか引き落とされません。引落額が小さくなるので便利そうですが、引落しにかからなかった残額には、年利15パーセントというものすごい利率で利息が付いていきます。

はっきり言って、リボ払いでの買い物は、サラ金で借金しているのと同じなので、絶対に利用すべきではないのですが、不思議なことに、一括で払える収入があるのにリボ払いにして、無意味に負債を拡大している方が時々見受けられます。債務整理なんかだと、リボ払いでクレジットカードを利用し始めたことが多重債務の始まりという方も多く、しかも当時の経済状況からすればリボ払いの必要性が全く無かったりして、なぜこんなことになったのか全く謎、という方もたまにいます。

仮に一時的にお金が足らず、リボで済ませたい事情があったとしても、それはそれで、支出が収入を上回っているわけで、遅かれ早かれ負債が膨らみます。

要は、リボ払いなんて利息は高いし、利用の必要性があってもなくても債務整理に至る要因なので、絶対に使わない方が良い代物です。それが分からず、リボを利用する人がなぜこんなにも多いのか、不思議です。