日々起案

田舎で働く弁護士が、考えたことや気になったことを書いています。

司法試験の勉強:行政法

行政法はとにかく法律解釈なのですが、判例によって確立されている規範は、そのまま表現しなければなりません。特に、処分性や原告適格判例は、一字一句そのまま暗記し、書き出すことが必須です。

その他、重要論点については、キーワードを問題に合わせて構築していくのが論証の基本になります。

以下、私の受験時代のまとめノートを記載します。本当にキーワードだけの羅列なので、見ただけではよく分からないと思いますが、試験前に短時間でポイントを思い出すにはこのくらいがちょうど良いと思います。

取消訴訟

訴訟要件

  1. 処分性(3条2項)
  2. 出訴期間(14条)
  3. 原告適格(9条1項)
  4. 被告適格(11条1項)
  5. 訴えの利益(9条1項)
  6. 不服申し立て前置
  7. 裁判管轄(12条)

法律上の争訟

  1. 行政権限間→内部の問題=争訟性なし
  2. 財産権の主体としてなら可
    1. 宝塚パチンコ条例事件(平成14年7月9日)
      公益目的≠個人の利益保護→争訟性否定
      ※批判あり:行政代執行できないものなら可とすべき
    2. 公害防止協定事件(平成21年7月10日)
      公益目的の契約履行で民訴認める

処分性

定義

「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが、法律上認められているもの」

最判昭和39年10月29日(ごみ焼却場設置計画議決無効事件)
該当しない場合
  1. 行政指導
    1. 事実行為:処分性なし
    2. 病院開設中止勧告事件(最判平成17年7月15日)
      1. 後続の不利益処分が相当程度確実
      2. 事後救済に実効性なし
  2. 条例(法規命令)
    1. 一般規範:処分性なし
    2. 横浜市保育所廃止条例事件(最判平成21年11月26日)
      1. 「限られた特定の者らに対して、直接」法効果を生じる
      2. 取消によることの合理性=第三者効(絶対的効力説)
  3. 職務命令
    1. 内部の命令:処分性なし
    2. 懲戒処分予防のための義務不存在確認→無名抗告訴訟or差止
      ※事後救済の困難性必要
    3. 被処分による不利益の予防目的→当事者訴訟

出訴期間

違法性の承継
  1. 先行処分:出訴期間経過=違法主張不可
  2. 後行処分に違法性承継されないか
    1. 一体として一個の法効果を発生させる目的
    2. 先行行為について手続的保障が不十分

原告適格

「行訴法9条は、取消訴訟原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消を求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益にあたり、当該処分によりこれを侵害又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有する」

最判平成17年12月7日(小田急事件)
三者原告適格
  1. 「法律上の利益を有する者」(9条1項)
    1. 小田急事件判決
    2. 9条2項
  2. 検討
    1. 原告の利益→具体的に特定
    2. 根拠法令の考慮利益該当性
      1. 文言
      2. 趣旨・目的
      3. 関連法規
    3. 個別的利益としての保護の有無
      1. 利益の内容・性質
      2. 侵害の程度・態様
        ※特定、重大、近接なら認めやすい
  3. 主張制限(10条1項)
    1. 相手方:専ら他の者の利益保護を目的とするもの以外
    2. 三者:保護規定についての主張のみ認める(9条2項と同じ)

訴えの利益(狭義)

  1. 訴えの利益(9条1項)=救済可能性
  2. 判断基準
    1. 処分の法効果が残存しているか
    2. 取消の法効果として回復する利益があるか(9条1項但書)
      例)給与債権

※事実上の原状回復可能性は事情判決の問題

不服申立て前置(審査請求前置)

  1. 出訴期間:60日以内→決済から6か月以内
  2. 順序
    1. 審査請求中心主義:原則(∵実効性)
    2. 異議申立前置主義
      1. 上級行政庁なし
      2. 個別に法定
    3. 自由選択主義:不作為(∵促進)
  3. 原処分主義:取消は原処分に対して行う(10条2項)
    ※裁決による変更=元々その内容の原処分があったとする(昭和62年4月21日)

仮の救済

執行停止(25条)
  1. 対象選択(聞かれなくても特定しておく)
    1. 処分の執行
    2. 手続の続行
      ↓(できなければ)
    3. 処分の効力
  2. 要件
    1. 「重大な損害」
      1. 回復困難→重大性あり
      2. 困難でない→損害の性質・程度、処分の内容・性質を考慮
    2. 「緊急の必要」
    3. 「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」がない
    4. 「本案について理由がない」といえない
  3. 手続
    1. 取消訴訟併合提起
    2. 被告適格
    3. 管轄裁判所
義務付けの訴え(37条の2、37条の3)
  1. 非申請型(37条の2)
    1. 「重大な損害」:考慮要素は執行停止と同じ
    2. 「他に適当な方法がない」:特別の救済手段の規定がないこと
    3. 「法律上の利益」:9条2項と同じ
    4. 処分すべきことが明白orしないことが裁量濫用
  2. 申請型(37条の3)
    1. 取消訴訟併合提起
    2. 取消訴訟に理由あり:法令違反→裁量違反
    3. 処分すべきことが明白orしないことが裁量濫用
差止め(37条の4)
仮の義務付け・仮の差止め(37条の5)
「償うことのできない損害」
文言の厳格性及び事前の救済手段という性質から、事後的な救済による回復困難性をより厳格に判断する。
「金銭賠償によることが不可能であるか、又は社会通念上著しく不相当な損害」

法主

通常審査(判断代置)

  1. 権限の違法
    1. <根拠規定>によれば、<処分内容>をする権限はAにある。
    2. 本件処分はBが行っており、無権限者による処分として違法である。
  2. 形式の違法
    1. <根拠規定>によれば、<処分内容>は~によってしなければならない。
    2. 本件では、これをしておらず、処分はされていなかったことになる。
  3. 理由不備(手続の違法)
    1. 行手法8条1項の趣旨は、①「判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに」②申請者の「不服申立てに便宜を与える」点にある。
    2. よって、理由には<根拠規定>の適用の基礎となった事実関係を具体的に記載しなければならない。
    3. 上記趣旨に鑑みれば、事後的な追完は許されないが、差替えは許される。
  4. 法令解釈の違法
    1. <処分内容>は<根拠規定>について~との見解の下になされたものである。
    2. しかし、~であるから、<根拠規定>は~という趣旨と解すべきである。
    3. とすると、<処分内容>はかかる<根拠規定>の趣旨に反し、違法である。

裁量統制

裁量の存否
  1. <根拠規定>は、要件or効果について、
    1. ~条に~という基準を定めている。
    2. 具体的な基準は何ら定めていない。
  2. かかる判断については、
    1. ~であることを要し、これは経験則等に基づいて判断できる。
    2. ①、②、③などの諸要素を総合考慮した、専門技術的判断を要する。
  3. よって、
    1. その判断が行政庁の裁量に属するものとは解されない。
    2. 法は行政庁に一定の裁量を認めたものと解する。
  4. そこで、
    1. ~であるか否かを判断する。→通常審査へ
    2. かかる裁量判断が、裁量権の逸脱・濫用として違法とならないか検討する。
裁量濫用論
  1. 上記のように行政庁の裁量が認められる判断については、…という場合に限り、裁量権を逸脱・濫用したものとして違法となると解する。
    1. (重要な)事実の基礎を欠く
    2. 社会観念上著しく妥当を欠く
    3. 事実に対する評価が明らかに合理性を欠く
    4. 考慮すべき事情を考慮せず、考慮すべきでない事情を考慮している
  2. 本件では、…ため、裁量権の逸脱・濫用が認められる。
    1. ~という判断過程における考慮不尽の瑕疵がある
    2. ~という目的・事情に比して処分が重きに失する

損失補償・国家賠償

国家賠償法1条

  1. 「公権力の行使」
    国賠法2条と私経済作用を除くすべての活動(広義説)
    →問題となる行為の特定・あてはめ
  2. 「公務員」
    1. 公権力の行使者(≠公務員法上の公務員)
    2. 該当性
      1. 本来行政の事務
      2. 権限の委譲による行為
  3. 賠償請求の相手方
    1. 国家賠償:行政のみ(∵代位責任)
    2. 債務不履行安全配慮義務):施設設置者たる行政

権力の不行使の違法

  1. 行使すべき権限の特定
    1. 法規→裁量の有無
    2. 行政指導・公表
  2. 法令解釈
    1. 保護法益
    2. 適時適切行使義務←裁量を与えた趣旨
  3. 具体的事実
    1. 権限行使要件の充足(認識)
    2. 行使義務(要件充足+重大性)
    3. 因果関係・有責性
論証例

  1. ~条の~する権限は、~であるから、裁量に委ねられる。よって、権限の不行使が即違法とはいえない。
  2. しかし、「権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく不合理と認められるときは、国家賠償法1条の違法にあたる」と解すべきである。
  3. 権限不行使の合理性判断においては、①被侵害法益の性質・程度、②予見可能性、③結果回避可能性、④当該権限の行使による解決の適切性を総合考慮する。
  4. ~という保護法益に鑑みると、法は当該権限について適時適切に行使することを要求する趣旨と解される。そして、①<法益>は重大である。また、②~という事情が認識されていたから<予見可能性>があったといえる。③~の時点で~していれば損害を軽減できたから<結果回避可能性>も認められ、④~であるから<処分>以外に確実な防止策はなく、権限行使が適切であったといえる。
  5. 以上より、Yの権限不行使は国家賠償法1条の違法にあたる。

※他の要件(「公務員」「職務」「故意・過失」「損害」「因果関係」)も検討!

国家賠償法2条

  1. 「営造物」
    「国又は公共団体により直接に公の目的に供されている有体物」
  2. 設置管理の瑕疵
    1. 瑕疵=「通常有すべき安全性を欠いていること
    2. 判断方法
      「当該営造物の構造・用法・場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して個別具体的に判断すべき」
      1. 物理的欠陥
      2. 危険の蓋然性・重大性
      3. 回避措置の必要性・有効性・普及度・費用
    3. 供用関連瑕疵
      「内在的瑕疵がない場合でも、一定の限度をこえる利用によって第三者に危害を生じる場合には、瑕疵があると解すべき」
      1. 社会的受忍限度
      2. 被害の範囲・程度
      3. 公益の要請
      4. 経緯・防止措置の状況
      5. 彼此相補の関係

損失補償

  1. 憲法29条3項
    1. 直接可
    2. 各法律
      1. 手続あり:形式的当事者訴訟
      2. 手続なし:実質的当事者訴訟
  2. 補償要件=29条3項の解釈
    1. 形式的基準:特定の者に対し
    2. 実質的基準:財産権の本質を害するような侵害
  3. 内容
    1. 完全補償vs相当補償→説明の違いでしかない(いずれにしろ原則は完全)
    2. 合理的理由があれば市価自体でなくてもいい
    3. 精神的価値、生活再建費用、文化的価値は含めない

住民訴訟

  1. 監査請求前置
    1. 対象となる財務会計行為の特定
    2. 期間:1年+合理的理由
    3. 責任者:専決では専決権者が一次責任→専決権者
  2. 訴訟(地方自治法242条の2)
    1. 1号:差止
    2. 2号:処分の取消
    3. 3号:怠る事実の違法確認請求
    4. 4号:賠償請求命令
      1. 長を被告とし、責任者個人への賠償を求める
      2. 一次責任者・監督責任者の両方
  3. 先行の非財務会計行為に違法がある場合
    1. 原則:従う義務→財務会計行為は適法
    2. 例外:財務会計法規上の義務違反になる場合は違法
      1. 先行の違法行為が直接の原因・目的となっている
      2. 「著しく合理性を欠き適正な予算執行の観点から看過しがたい瑕疵がある」
  4. 過失:会計職員等は軽過失免責
  5. 債権放棄の決議
    1. 原則:裁量行為
    2. 住民訴訟の趣旨に鑑み不合理で裁量濫用にあたるか

択一用の暗記シート

処分性

処分内容 処分性の有無 判断理由
土地区画整理事業計画決定 換地処分を受ける地位≠一般的・抽象的
用途地域の指定 × 一般的・抽象的→建築確認で争うべき
2項道路指定 土地に対する具体的な私権制限
水道料金を定める条例 × 一般的・抽象的・不特定多数人
開発許可要件としての同意 × 不同意≠開発の禁止・制限効果
労災就学援護費不支給決定 支給請求権の存否確定
海難原因解明裁決 × 原因解明≠過失確定効
輸入禁制品該当通知 最終的な拒否判断の表明=実質的拒否処分の機能
病院開設中止勧告 事後の不利益処分が相当程度確実+救済の実効性
登録免許税還付通知拒絶通知 簡易手続を利用しうる地位の否定
反則金の通告 × 通告≠納付義務

原告適格

処分内容 原告適格の有無 保護法益
定期航空運送事業免許 ○近隣住民 騒音
原子炉設置許可 ○周辺住民(29~58km) 事故災害
特急料金認可 ×個別利用者 個別利用権:保護せず
史跡指定解除 ×研究者 文化財享有権:公益に解消
風俗営業許可 ×該当地域住民 風俗環境保全:公益に解消
林地開発許可 ○近隣住民
×地権者・営農者
災害
財産権:保護せず
総合設計許可 ○近隣住民 倒壊・炎上
都市計画事業認可 ○近隣住民 騒音・振動
場外車券場設置許可 ×近隣住民
○医院開設者(○200m ×800m)
生活環境:保護せず
健全な環境での医療業務

訴えの利益

処分内容 問題となった事情 利益の有無 判断理由
更正処分 再更正処分 × 更正処分は取り消されている
放送免許拒否 他者への免許 競願関係→必然的に全体でやり直し
運転免許停止 期間経過 × 法的効果消滅
保安林指定解除 防災用代替施設設置 × 危険消滅=救済すべき不利益なし
建築確認 工事完了 × 確認=工事の適法化≠事後処分の前提
土地改良事業認可 換地完了 原状回復の可否は裁量棄却(31条)の問題
再入国不許可 出国 × 再許可の基礎となる現在留資格消滅
換地処分無効確認 給付訴訟可 照応原則→土地取戻は求めていない
原子炉設置許可無効確認 民事差止可 紛争の抜本的解決→直截かつ適切

FAXで時効援用通知

時効主張の方法については以前にも書きましたが、その時は内容証明郵便を送るという方法でした。

しかし、時効援用の方法には特に限定があるわけではなく、実際、電話での時効援用を認めてくれた業者もあります。内容証明郵便を使うのは、単に証拠が確実に残るからに過ぎません(電話で時効援用した業者については、時効を認める旨の書面と契約書原本を送付してもらいました)。

したがって、FAXや電子メールでの時効援用も十分可能と言えます。電子メールは、そもそも消費者金融等の業者が電子メールでの連絡を受け付けていないので、実際に検討すべきはFAXになるでしょう。

FAXは自分側の機械にも送信記録が残りますが、それだけでは不安です。そこで、時効援用通知の下に、「受領書」欄も付けてFAXをすることが考えられます。

受領しました、という文面に担当者の署名なり押印なりをもらって、FAXを返信してもらうようにすれば、受け取ったFAXが十分な証拠になります。内容証明郵便にかかる手間とお金を考えれば、遥かに簡単です。

問題点は2つ。

  1. 自力で時効援用する場合、業者が受領後に返信FAXしてくれるか怪しい
  2. 自力で時効援用する場合、そもそも自前のFAXがなく、返信先を受け取れない可能性がある

弁護士であればこれらの問題はあまり考えられないので、FAXで良いのではないか、とも思うのですが、やはりFAX書面より内容証明の方が確実性が高いので、安全策で内容証明郵便を使ってしまいます。

自分の家にFAX機があり、内容証明郵便を出すのが面倒と思う方は、FAXで時効援用してみるのも一つの手ではないでしょうか。

刑法事例演習教材02「D子は見ていた」

受験生時代に作成した、刑法事例演習教材(初版)設問02の回答例。

第1 Aの財布を持ち去った行為について
1 窃盗罪の成否
(1)  甲は、Aの財布を無断で持ち去っているから、Aに対する窃盗罪(刑法(以下法令名省略)235条)が成立しないか。
(2)  Aに対する占有侵害の有無
ア 窃盗罪は他人の占有する財物を客体とすると解されるところ、Aは財布を置き忘れて別の場所に移動していたから、財布にAの占有があったといえるのか問題となる。
イ この点、刑法上の占有とは物に対する事実的支配関係と解されるから、物を置き忘れた場合に占有が継続しているかは、客観的に見て社会通念上なお占有者の支配力が及んでいるといえるかで判断すべきであり、具体的には、置き忘れからの①時間的接着性、②距離的接着性、③事実的支配を推認させる客観的状況等を考慮して判断する。
ウ 本件では、Aは財布を置き忘れて6階から地下1階まで降りており、置き忘れに気付いて6階に戻るまで約5分が経過している。
 ①引き返すまでの5分が長いとはいえないが、②地下1階と6階では距離的に相当離れていたといえるし、③スーパーマーケットのベンチは、あえてそこに財布を置いておくことは通常ありえない場所なので、事実的支配を推認させるような客観的状況もないといえる。
エ よって、Aの財布に対する支配力は社会通念上失われており、財布にAの占有は及んでいないから、Aに対する占有侵害は存在しない。
(3)  B、Dに対する占有侵害の有無
ア Aの占有が失われたとしても、その後にB又はDの占有が生じていないか問題となる。
イ この点、不特定多数人の出入りを前提とするスーパーマーケットで、置き忘れられた物が即店の管理に入るような支配力は認められないから、Aの財布にBの事実的支配が及んでいたとはいえない。
ウ また、Dについても、6メートル離れたところから注視していたにすぎず、自らこれを確保又は管理して置き引き等を防止するといった態勢にはなかったのであるから、事実的支配は認められない。
エ よって、甲の財布にはB、Dの占有も生じておらず、甲の行為は占有侵害にあたらない。
(4)  以上より、Aの財布はいずれの占有にも属していなかったのであるから、窃盗罪の客体に当たらず、甲に窃盗罪は成立しない。
2 占有離脱物横領罪の成否
(1)  甲は、占有の失われた財布を持ち去っており、それを自分のものにしようという不法領得の意思も認められるから、占有離脱物横領罪(254条)の構成要件に該当する。
(2)  しかし、甲は当該財布をCのものであると思い、Cに対する窃盗の故意で財布を持ち去っているから、錯誤により故意が阻却されないか問題となる。
(3)  この点、故意とは構成要件該当事実の認識であるから、異なる構成要件間の錯誤(抽象的事実の錯誤)は原則として故意を否定すべきであるが、実質的に構成要件の重なり合いがあれば、その限度では構成要件該当事実の認識があると評価でき、故意を認めうる。
(4)  そこで占有離脱物横領罪と窃盗罪についてみると、占有離脱物横領罪は所有権を保護法益としている。一方、窃盗罪も、「他人の財物」を客体とすることから、保護法益は財物に対する所有権その他の本権であると解され、占有については、本権に基づき、あるいは外観上本権に基づくとみられる場合にこれを保護する趣旨であると解される。とすると、両罪はともに所有権を保護法益とし、領得行為によってこれを侵害する罪であるという点で共通するから、かかる限度で実質的に構成要件が重なり合うといえる。よって、甲には軽い占有離脱物横領罪の限度で故意が認められる。
(5)  以上より、甲は占有離脱物横領罪の罪責を負う。

第2 A名義のクレジットカードを利用した行為について
1 詐欺罪の成否
(1)  甲は、A名義のクレジットカードを利用してFから財物の交付を受けているから、詐欺罪(246条)が成立しないか。
(2)  詐欺罪は財産犯である以上財産的損害を成立要件と解すべきであるが、E信販会社が立て替え払いに応じている以上、加盟店には財産的損害は認められない。これに対し、加盟店による財物の交付自体を損害と考える見解もあるが、現に取引対価を得ている場合にまで損害を認めることは、損害概念の形骸化を招き妥当ではない。
(3)  そもそも、詐欺罪の本質的要素は錯誤に基づく処分行為であるから、被欺罔者が処分行為者たりえれば、被害者まで一致する必要はない。そして、クレジット契約の実体を信販会社による債務引受と解すれば、加盟店には信販会社に立替払いをさせるという権限が認められるから、信販会社の財産に対する処分権限者といえる。
(4)  よって、甲によるクレジットカードの不正利用は、加盟店のFを被欺罔者かつ処分行為者とし、信販会社Eを代金債務引受による被害者として、甲が代金債務免脱の利益を得たものであるから、利得詐欺罪(246条2項)の構成要件に該当する。
(5)  そして、甲は自己がAであるとFに誤信させ、A名義のクレジットカードで代金債務を免れているから、246条2項の構成要件を満たし、これを認識しているから故意も認められる。
(6)  よって、甲は詐欺罪の罪責を負う。
2 私文書偽造罪及び同行使罪の成否
(1)  甲は、売上伝票にAと署名しているから、私文書偽造罪(159条1項)が成立しないか。
(2)  まず、売上伝票は売買の存在を証明する文書であるから、「権利、義務…に関する文書」に該当する。
(3)  次に、文書偽造罪の保護法益は文書に対する社会的信用であって、その本質は、当該文書の内容に関する責任追及可能性を担保することにある。とすれば、文書内容の虚偽にかかわらず、文書作成主体たる名義人にさえ偽りがなければ、文書の作成について名義人への責任追及が可能となるから、文書に対する社会的信用は害されないといえる。したがって、「偽造」とは、名義人と文書作成者との同一性を偽ることであると解される。
(4)  そして、かく解すれば、事実上の文書作成者が名義人と異なるとしても、作成者が名義人から作成権限を与えられていれば、責任は名義人に帰属し文書の信用性を害しないから、「偽造」には該当しない。 売上伝票は、売買の当事者として代金債務を負う者が署名するものであるから、意思主体は署名から把握され、本件売上伝票の名義人はAであると解される。
(5)  そして、甲はAから売上伝票についての作成権限を与えられていないから、甲によるA名義の署名は名義人を偽ったものとして「偽造」に該当する。
(6)  甲はこれをFに交付する目的があり「行使の目的」も認められるから、私文書偽造罪が成立し、また実際にFに交付して使用しているため同行使罪(161条1項)が成立する。

第3 罪数
 私文書偽造・同行使罪と詐欺罪は牽連犯(54条1項)となり、これらと占有離脱物横領罪は併合罪(45条)となる。

以上


刑法事例演習教材 刑法事例演習教材 第2版

司法試験の勉強:刑法は暗記が7割

何を暗記するのか

答案の基本的な流れ(アウトライン)は、以下のとおりです。

  1. 罪名(条文)の特定
  2. 構成要件該当性(因果関係含む)
  3. 故意・過失
  4. 違法性・責任阻却事由
  5. 共犯論
  6. 罪数

罪名の特定と罪数以外は、基本的に全て「規範→あてはめ」の論証パターン吐き出しだけでOKです。したがって、この論パを準備して暗記することになります。

以前書いた論証パターンのような定義・規範を挙げては、設問に即してあてはめる。これをひたすら繰り返すだけです。「その場で考える」のは、事実の当てはめだけで十分です。

刑法の論点はほぼ出尽くしているので、準備した暗記で対応できないということはまずないでしょう。それに、暗記を吐き出すくらいのつもりでいないと、メリハリを付けた記述をするのは、刑法では必要な記述量的に無理があります。

残りの3割は何か

7割は暗記で、残りの3割は何かというと、2割が構成、1割があてはめです。

構成

答案の基本的な流れは上で書いたとおりですが、複数の行為や行為者が絡み合っている場合は、どういう順番で書くのが書きやすいか(=理解させやすいか)をよく考える必要があります。また、論パで十分だからこそ、どこを厚く書き、どこをより省力化するかでメリハリを付けることが、得点に繋がっていきます。

論パの前提である答案構成を早く正確に行うことが、重要となります。

重要だし、練習しなければ身に付かないものでもありますが、構成もある程度パターンがあり、原則(行為者別に書く、行為ごとに書くなど)を押さえれば応用は簡単なので、割合としてはせいぜい2割です。

あてはめ

刑法では、そこまであてはめに悩むことはないと思います。とはいえ、事実の評価と当てはめが難しい問題もないわけではありません。

あてはめは、常識で考えればできるものですが、時間のない試験中では、時に重要な設定事実自体を見落としたり、反対事実を敢えて無視してしまうことがあります。

問題文には、あからさまに「これを使え」という事実が記述されているので、その見落とし・無視は絶対に不可です。事実はしっかりマーキングし、自分の論証に不利でも必ず評価して使う必要があります。

あてはめ自体は配点的にも重要ではありますが、実際の作業としては、準備も練習もそこまでたくさんする必要がなく、ただ丁寧にこなせば良いだけなので、勉強における割合としては、1割程度にとどまります。

刑法事例演習教材01「ボンネット上の酔っぱらい」

受験生時代に作成した、刑法事例演習教材(初版)設問01の回答例。

Aに対する罪責
第1 Aの顔面を殴打した行為について
1 甲は、Aの顔面を手拳で軽く1回殴打しているから、暴行罪(刑法208条、以下条文のみ示す)の罪責を負わないか。
2 構成要件該当性
 「暴行」とは、人の身体に対する有形力の行使をいう。Aの顔面を手拳で軽く1回殴打する行為は、人の身体に対する有形力の行使にあたる。よって、「暴行」に該当する。
3 故意
 故意とは、犯罪事実の認識・予見のことをいう。甲には殴打の認識もあるから暴行の故意も認められる。
4 正当防衛(36条1項)
(1) 正当防衛は違法性阻却事由であり、その根拠は、防衛行為者に、不正な侵害者との関係で回避・退去義務が無い点にある。
 甲はAを殴打する前に、Aから胸ぐらを掴まれそうとなっているから、正当防衛が成立しないか。
(2) 急迫不正の侵害
ア 甲は、Aが甲の車の窓から手を入れてきて、胸ぐらを捕まれそうになった。しかしこれは、甲の侮辱発言を発端としており、自ら招いた侵害のように思える。
 自招侵害は、自己が挑発的言動を控えれば侵害を回避できたのであるから、それが正当な活動と評価されない限り、侵害を回避すべき義務がある。にもかかわらず、回避せずに生じた侵害は、回避すべき侵害が現実化しているにすぎないから、急迫不正の侵害とはいえないと考える。
イ これを本件についてみると、甲はAに侮辱発言をしたものの、その発言は、Aの道路に寝転ぶ行為に対して向けられている。Aの行為は道路交通法上違法で、危険かつ異質な行動であり、甲は回避することができなかった。そうすると、甲の挑発的発言は、正当な活動であるといえる。
ウ したがって、侵害を回避すべき自招な侵害であるとはいえず、急迫不正の侵害は認められる。
(3) 防衛するため
 甲はAからの暴行を避け、隙をみて逃げるために殴打したのであるから、防衛のためにする行為である。
 なお、客観的な正当防衛状況が違法性阻却を基礎付けるから防衛の意思は要件として不要である。
(4) やむを得ずにした行為
 やむを得ずにした行為というためには、防衛の手段として必要かつ相当でなければならない。なぜなら、正対不正の関係であるから補充性までは不要であるが、過剰防衛(38条2項)にあたらない程度の手段でなければならないからである。
 そして相当性とは、結果の衡量ではなく、侵害行為と防衛行為の危険性を衡量して判断する。
 これを本件についてみると、胸ぐらをつかもうとした相手の顔面を素手で軽く一回殴打する行為は、車内に侵入してくる手を排除するための対抗行為であり、必要な行為である。
 そして、お互いが素手同士あること、車内から座った状態での殴打であること、絡んでくる酔っ払いを払いのける対抗手段であったことなど考えると、防衛手段として相当である。
(5) 以上により正当防衛の要件を全てみたす。
5 結論
 正当防衛の成立により違法性が阻却される。したがって甲に暴行罪は成立しない。
第2 Aを車のボンネットから振り落とした行為について
1 甲は、Aを車のボンネットから振り落としているから、殺人未遂罪(199条、203条)が成立しないか。
2 構成要件該当性
(1) 甲は、Aをボンネットに乗せたまま車を発車させ、時速70キロメートルで国道上を疾走しつつ、急ブレーキを何度もかけたり蛇行運転をするなどしながら約2.5キロメートルにわたって同乗を運転して走行し、午前0時35分ころ、路上において急ブレーキをかけて同車のボンネット上からAを振り落して転落させ、Aに頭部外傷等の加療約2週間を要する傷害を負わせている。
(2) 上記行為は傷害罪(204条)の構成要件に該当するが、Aをボンネットに乗せたまま、高速で蛇行運転をして振り落とす行為は、死の結果を惹起しうる危険性を有する。
 この場合、甲に殺人罪(199条、203条)の未必の故意が認められるのであれば、殺人未遂罪と評価できる。そこで、殺人罪未必の故意が認められるのか。
2 故意
(1) 未必の故意とは、行為者が、犯罪事実の発生を確定的なものとしては認識していないが、その発生がありえないわけではないものと認識している心理状態をいう。
 故意は、違法な構成要件から生ずる結果発生の認識・予見がありながら、当該結果を生じさせないような行為に至る動機としなかった場合に認められるところ、確定的な認識がなくとも違法性は十分認識できることからすれば、そのような動機はもちうるため、未必の故意も故意と考えることができる。
(2)ア これを本件についてみると、甲はAをボンネット上から振り落とそうと考え、時速70キロメートルものスピードで走りつつ、急ブレーキの使用と蛇行運転を約2.5キロメートルの間繰り返している。
イ 車にしがみついた状態で振り落されれば受け身も取れず、ましてや70キロメートルもの高速では路上に叩きつけられるに等しい。しかも国道1号であればアスファルト舗装されているから、その衝撃は相当なものである。当たり所に関わらず、死の危険性が極めて高い行為である。
ウ 甲はこのような危険性の高い行為を行うことを認識しており、死の結果に対する確定的な認識なないとしても死の結果の発生がありえないではないとの認識はあったと考えられる。
(3) 以上により、殺人の未必の故意が認められる。
3 正当防衛
(1) 甲が車でAを振り落す前に、Aが車のボンネットに乗ってきているから、正当防衛が成立しないか。
(2) 急迫不正の侵害
 甲の適法な有形力の行使を逆恨みして甲を追いかけ、車の前に立ちはだかり、ボンネットの上に乗るというAの行為は、不法な有形力の行使であり、急迫不正の侵害である。
(3) 防衛するため
 甲はAから逃げようとして車を走らせているから、防衛に向けられた行為である。
(4) やむを得ずにした行為
ア やむを得ずにした行為であるというためには、防衛の手段として必要かつ相当でなければならない。
イ Aから逃れるために車を走らせることは必要な甲であるといえる。
ウ それでは相当な行為であるといえるか。相当性は、防衛行為として相当な行為か否かを問題とするから、結果の衡量ではなく、侵害行為と防衛行為の危険性を衡量して判断する。
 なぜなら、正当防衛は不正に対する正当な権利行為であることからすれば、行為者に求められるのは、具体的状況下で必要最小限度の行為選択をすることにとどまるからである。
 これを本件について考えると、車内にいる状態でボンネット上のAから逃れるためには車を動かす以外に方法はないと考えられる。
 しかし、少なくとも車内にいる限り甲に切迫した生命の危険はなく、自動車を棄損される危険性があるにすぎない。にもかかわらず、約70キロメートルの速度で疾走し、急ブレーキや蛇行運転を繰り返すなど、死の結果を惹起しうる危険性の高い行為をすることは、財物を防衛する手段としては過剰であり、相当な限度を超えている。
 そして、例えば人通りの多い場所まで低速で移動しそこで助けを求めるなど、Aに過度の危険を生じさせない他の手段は容易に認められる。
(5) したがって、甲の行為は防衛の程度を超えた行為であるから、正当防衛は認められず、過剰防衛が成立する(36条2項)。
4 結論
 甲には殺人未遂罪の過剰防衛が成立する。

Bに対する罪責
第1 傷害罪(204条)
1 甲が車を進行させたことによりBは打撲傷を負っているため傷害罪が成立しないか。
2 構成要件該当性
(1) 「傷害」とは、不法な有形力の行使等により人の生理的機能に不良な変更を加えることをいう。甲は、Bの体から約1メートル離れた地点に車を進行させたところ、Bがあわてて身を避けようとして転倒し、全治1週間の打撲傷を負っている。
(2) Bの身体のすぐ側を走行させる行為は、それ自体傷害の危険性を有している。物理的接触の有無に関わらず、有形力の行使にあたる。
(3) 車が向かってくれば接触するかもしれないとあわてて身を避けようとすることはあり得ることであり、相当因果関係も認められる。
(4) 以上により、甲の行為は傷害罪(204条)の構成要件に該当する。
2 故意
(1) 甲は、Bの体のすぐ側を走行させようと認識していたのであるから、暴行の故意が認められる。
(2) 傷害は暴行の故意があればよいが、責任主義の観点から加重結果の過失(予見可能性)が必要となる。Bが、向かってくる車をあわてて避けようとして怪我をすることは、自動車を運転する甲にとって経験則上明らかであるから、結果発生を予見することができた。
(3) したがって、甲に故意が認められる。
3 正当防衛(36条1項)
(1) 甲が車を進行させる前に、BはAと共に進路妨害等をしているから正当防衛が成立しないか。
(2) 急迫不正の侵害
 BはAと共に進路を防ぎAがボンネットに乗るなど、甲に対して不法な有形力を行使してきており、急迫不正の侵害があるといえる。
(3) 防衛するため
 甲は逃げようとして車を発進させており、防衛のためにした行為であるといえる。
(4) やむを得ずにした行為
 やむを得ずにした行為であるというためには防衛行為としての必要性、相当性が必要であるところ、上述のとおり車を動かす行為は必要である。そして、Bは傷害を負ったもの、甲はBと物理的接触なく車を動かしていることから、防衛手段として過剰とまではいえない。したがって、相当性も認められる。
(5) 以上により、正当防衛が成立する。
4 結論
 正当防衛の成立により違法性が阻却される。したがって甲に傷害罪は成立しない。

罪数
 以上まとめると、甲にはAに対する殺人未遂罪(199条、203条)が成立し、過剰防衛(36条2項)により任意的に減免される。

以上

刑法事例演習教材 刑法事例演習教材 第2版

自力で借金の時効を主張する3ステップ

明らかに消滅時効が完成している借金の請求について、時効援用(内容証明の作成・送付)だけ依頼されることも時々あります。

手間もリスクも小さいので、依頼されれば喜んで引き受けますが、やろうと思えば自分でも簡単にできることなので、ざっくりと時効援用の手引きを書いてみます。

ステップ1:最後の返済期日を確認する

請求書や「最終通告書」「法的手続予告通知書」なんかが届いたら、最後の返済期日を確認します。書いていなければ、若干不正確になりますが、最後に取引した日でもいいです。

その日の翌日から数えて、5年以上経っていたら、時効期間が経過している可能性があります。

時効が中断(リセット)されている場合もありますが、裁判や支払督促をされたことがなければ、問題ない場合がほとんどです。

ステップ2:文面を用意する

時効は、援用(主張)して初めて債務消滅の効果が発生します。なので、証拠の残る内容証明郵便で時効を援用します。

この時の文面に必須の要素は、以下の3点です。

  1. 債務の特定(債権者、債務者、契約番号等で特定)
  2. 時効完成の事実(最終返済期日から5年以上経過したこと)の指摘
  3. 時効を援用する旨の主張

例文は、以下のとおり。


時効援用通知書
平成○年○月○日
〒○○○-○○○○
○○県○○市○○丁目○○番○○号 ○○ビル
○○債権回収株式会社 御中
〒△△△-△△△△
△△県△△市☓☓丁目△△番△△号
通知人 △△△△

前略

私は、貴社に対し、以下のとおり通知します。

貴社が私に対して主張する下記金銭消費貸借契約に基づく債務は、最終弁済期日である平成○年○月○日の翌日から5年以上が経過しております。

契約者番号:****-****-****
契約者名:△△△△(旧姓:▲▲)
生年月日:昭和△年△月△日
~~*1

そこで、私は、貴社に対し、上記債務について消滅時効を援用します。

なお、時効をお認めになる場合には、貴社保管の契約書等を速やかに廃棄処分していただきますようお願いします。

草々

ステップ3:郵便局に行く

あとは、内容証明郵便として送付するだけです。

内容証明郵便は、利用条件やコピー2部の用意など、出すのがちょっと面倒です。とは言え郵便局が扱う手紙の一種でしかないので、とりあえず郵便局の窓口に行って相談してしまいましょう。

「これ内容証明郵便で出したいんですけど」と言えば、郵便局の人が教えてくれるはずです。

番外編:注意が必要な場合

借りた先が信用金庫の場合

信用金庫は、建前上は業として金貸しをしているわけではないので、時効が10年です。

保証契約に基づいて代位弁済されていた場合

ローンを組む時などは、債権者の系列会社が保証機関となることがありますが、この場合、時効の起算点は代位弁済された日になります。

*1:その他、旧住所、債権譲渡された債権なら原債権者(元々の債権者)など、特定に必要な情報

「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」(第2話まで)の感想

NHKで、スクールローヤーをテーマにしたドラマが放映されているので、視聴しています。

第2話までだと、主人公が学校のトラブルを一つも解決できていないので、ちょっと残念でした。元々、主人公は「法廷に立ったことのない新人弁護士」という設定なので、自然といえば自然なのかもしれませんが。ただ、これだと、スクールローヤーという存在が、ただの屁理屈屋にしか見えないので、スクールローヤーを認知させるという意味ではどうなのかな、と思います。

主人公について

主人公の田口弁護士は、大きめの法律事務所でノキ弁をしている新人弁護士です。ノキ弁というのは、どこかの事務所で間借りさせてもらって自分で仕事を受任する弁護士です。一口にノキ弁と言っても、完全に間借りだけの場合から、そこの設備や事務員を借りられる場合、教育をしてもらえる場合、仕事も割り振ってくれる場合と色々です。もちろん、ノキ弁でいるために事務所に納める金額(の決め方)も色々です。

田口弁護士が、ボス弁に対して勤務弁護士(イソ弁)にしてほしいと言っていること、そこまでボス弁を敬愛している感じではないことからすると、独立もできず就活にも失敗したパターンではないかと思われます。作中の人物像としても、田口弁護士の言動には、あまり自信が見えません。超優秀というほどではなく、本人もそれを自覚している人間なのでしょう。

そんな田口弁護士、年収280万円より低いそうです。

それなのにスクールローヤーなんてやらされているのは、正直可哀想だと思いました。週に2日もまるまる潰されるとなると、ただでさえ少ない年収が更に落ちてしまうこと確実でしょう。ノキ弁なので業務命令というわけではないのでしょうが、「貧乏クジを引かされた」と言っているので、半強制ではないかと思います。そうなると本当に可哀想です。

スクールローヤー以外の仕事について

現在のところ、田口弁護士がスクールローヤー以外の仕事をしている場面はありません。「法廷に立ったことがない」ことと国選事件のクジで外れを引いていることから、刑事事件で食べているわけで

弁護士としては、スクールローヤー以外の仕事がどうなっているのかが気になってしまいます。

ちなみに、田舎だと、国選事件は名簿に登録するだけでどんどん割り振られます。わざわざ事件を取りに行ってクジ引いて当たれば受任、というのは大都市だけです。

スクールローヤーとしての仕事について

スクールローヤーの仕事はよく知りませんが、一般的なクレーム対応として考えると、田口弁護士の対応はあまり良くない気がします。

田口弁護士は、登場と同時に相手を言い負かそうとしていますが、まずは、相手の話をよく聞き、本当にこちらに落ち度がないのかをよくよく確かめる必要があります。万が一こちらに落ち度があるにも関わらず口八丁で言いくるめてしまったら、後々懲戒請求なんて可能性も考えられます。それに、弁護士が出てしっかり話を聞くだけで解決する場合もあるので、最初から論戦に入るのは、かえって労力の無駄です。

そもそも、弁護士によるクレーム対応の重要な目的の一つは、「対応を弁護士に一本化することで業務を阻害せずに済む」ところにあると思います。どうあれ他の教員に対応の手間を取らせてしまうようでは、対応としては失敗でしょう。極端な話、最終解決に至らなくても、相手が弁護士に主張をぶつけ続けてさえいれば、対応としては成功と言えるのではないでしょうか。

今後に期待

今後は、田口弁護士が成長し、もう少しビシッと問題を解決できるようになってくれたらな、と思います。